2021年07月08日
「どれもいいですけど」は魔法の言葉
2021年04月26日
良い印鑑を押すということは
個人の3本セットをご注文して頂いた方から、素敵なメールが届きました。ご本人の許可を快く頂き転用しながら、進めて行きます
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以下、簡単ですが、管見の限りを記しまして、感想に代えさせていただきたく存じます。
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さて、皆さん「管見の限り」という言葉を知っていますか?はんこ屋は知りませんでした。
簡単にここで、その意味を書くより、気になった方は、ネットで調べてみましょう。
そうすれば、このような言葉をさらりと使えるこのメールを書いた方の実力の一端が分かります。
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これまでも様々な書類に署名捺印をしてきましたが、今回、荒見様に篆刻していただいた印鑑を押印して気が付いたことがあります。
それは、本当に良い印鑑というのは、見た目や出来栄えは去ることながら、押印する瞬間、そして自分が押印した印影を見たときの心の持ちように差が出るということです。
実印は、重大な決断の最終局面で押印する機会も多く、御朱印でいうところの「神璽」が神様を表すのであれば、「実印」は個人の証明の役割だけでなく、個人そのものの強い意思の表れを紙面に載せるものと存じております。押印という行為によって、ある決断に対する自信や意思の最終確認ができるものと存じます。
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当店ではんこを注文して下さった方々が
このように感じながら、押印して頂いていること思うと、はんこ屋になって本当に良かったです。
更に歴史を研究されている方なので、そのあたりの記述もあります。
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戦国大名も自身の印影に虎や龍を施すなど、威厳と吉祥を込めた印を作成し、文書に押印していました。
不思議なもので、形は違えど、その気持ちがわかるような気がしました。
印鑑は、自身の証明でもあり、押印という行為自体が内心への問いかけという意義をも含むのならば、この意義を果たすためには、やはり機械彫りの印鑑ではその役目を果たすことは困難であると改めて実感しました。
近年、何にでも機械化やデジタル化が進み、人の手によってなされる行為、例えば、書く、縫製する、料理する、などかつては当たり前であったことが機械に取って代わられ、人の手によって行われる行為の価値が増しているように感じます。
印章の分野も例外ではなく、ハンコレス化が進み、人の手によって彫られた印鑑がより貴重となり、ますますの価値を有してくると思います。
この度、手彫りでしか表現できない枠の繊細さ、印影の美しさ、本来の印鑑の意味を捉えた八方篆、真の印鑑と出会えたことに感謝をしています。
そして、人が作るものですから、字に人柄が表れるというように、印鑑にも彫った方の人柄が表れると思います。何よりこのような美しい印鑑を篆刻される荒見様に巡り会えましたことを光栄に思います。
一生ものです。
大切にしたいと思います。
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手でものを作る大切さをあらためて、気づかされました。
作ったはんこに、人柄が表れているとは油断できません(笑)
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最後に、どれだけ資本主義が浸透しても、最終的には人to人です。
会話を大事にされたり、物を制作することに際して、お互いを知ることを
重視される姿勢に強い共感を覚えます。
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おしゃべりまで、肯定して頂きました。
このメールを読んで思い出したのは
「(作っていただいた)はんこを押す時に、このはんこに見合った仕事をしたかと自分に問いかけます」
なんか素敵ですね。
良いはんことは、美しく、自分のために作られたことが実感てできるものであること。
そして、押印する人がそのことに気付いていることが重要です。
2014年01月07日
打率2割2分2厘
そんな中、はんこ屋は、とうとう打率3割を切ってしまいました。
9名の方が当店ではんこを作ることを検討され、そのうちご注文頂いたのが2名。
2÷9=0.222、3割を切ってしまいましたが2が並び、なんか縁起の良い感じがするので、OKです(笑)
まあ、9名から注文を受けると彫る作業ができず、もともと無理なのですが。
昨年まで1月から4月の平日は一日5人来て2人注文のイメージですが、来店者が多かったです。
注文しなかった7名のうち、後日注文の可能性があるのはお二人方だけ、後は高い高いと言われ続けました。
「えっ8千円もするの。高いな」
「8千円しかしないんです。安いところは機械彫りですから」
これが代表的な会話です。
せっかく良いはんこを手にするチャンスを得たのに残念という感じです。
これだけ高い高いと言われ続けると、以前でしたら高い気がして来るのですが、
高いと言っているのはお客様にならなかった人達、お客様になって頂いた方は、そんなことは言わず、「もっと早くここではんこを作れば良かった」とか、遠くから交通費をかけて来て頂けます。
更に印材屋さんは「これだけイイ印材を使って、きっちり彫っているので、安過ぎますよ」と言ってくれます。
なので、ブレることなく、怒ることもなく、高いという人達とさよならできます。
さて、今日の打率はどうなるか楽しみです(笑)
2013年05月25日
深く知って彫る快楽
昔から知っている近所のはんこ屋のおじさんが彫った感じのはんこを作ることです。
ご自身のために、はんこを作るきっかけは、結婚、住宅の購入・賃貸、相続、事業を始める際など、
人生の節目が多いです。
また、大きな理由もなく、はんこのことが気になり、作りに来られる方もいます。
はんこのことが、気になりましたら、それが作り時ですので、節目を迎えているのだと思います。
お子様やお孫さんに初めての銀行印を作ったり、成人、就職のお祝いに実印を作ってあげたりするのは、
お子様やお孫さんにとっても、ご自身にとっても、やはり節目です。
わざわざ、色々と面倒な(笑)当店にご注文に来て頂ける方々は、はんこは重要なものと気付き、
節目に良いものをと、考えている方たちばかりです。
そのようなお客様には知っているはんこ屋さんに彫ってもらったのと、
言えるようなものが彫れればと思っています。
(なんとか賞受賞の人が彫ったらしいものを求めている方は、来られません(苦笑))
はんこ職人にとって特別に気持ちが入るのは、
知っている人のためにはんこと、高い印材のはんこでしょう(笑)
初めてお会いしたお客様と30分から2時間程度のご注文の接客の後、
もう昔からの知り合い気分になることがこのところ良くあります。
はんこ屋がそのような気分になっているわけですから、
お客様もはんこ屋のことを昔からの知り合いと勘違いされているはずです(笑)
それで、今度飲みに行きませんか?色々な職業の人たちが集まる飲み会がありますのでと
お誘いすると、たいていOKしてもらえます。
自分が飲みに行く時間がなかなか取れない状況ですが、縁のある人とはいつか飲みに行けるはずと
連絡先をお聞きします。
そして知り合い気分の人のことを考え、お彫りし、快心の出来栄えの時、
その達成感は、ホント気持ちが良いです。
「深く知って彫る快楽」ということから
ゴールデンウィークの出来事を知っている皆さんは、違う想像をしたかも知れませんが(笑)
あの方は、まだお客様として現れていませんよ。
今、ゼロからスタートの海外向けの英語版のホームページのことをよく考えていますので
つい真面目なブログとなってしまったようです。
何を目指していくか、その方針こそ重要というお話です。
2012年12月28日
良い年の暮れ
応募されたモチーフ入り印鑑が、当選者の方々に届いたようです。
普通に忙しい状態を10とすると、今の忙しさは20、
プレゼント当選者のためにハンコを彫った時の忙しさは、22レベル。
でも、意地でブログを書きました。
予定より2サイズ大きくして、予定作業時間が5倍になった今年1番の大作となってしまった姫路城。
姫路城さんがブログを読まれたら、
はんこ屋が暗に貢ぎ物を要求していることに気付くことを願って書いたものです(笑)
直接的に書くとプレゼント当選者に貢ぎ物を要求する暴挙で(笑)
鴨居先生や出版社さんに迷惑をかけてしまいますので、
あくまでも自主的に貢ぎ物をしなければならないと思わせる文書力勝負です。
そして、とうとう貢ぎ物、やって来ました。
「玉椿」姫路城さんの勝負、手土産だそうです。
由緒正しいお菓子のようで、抹茶と頂くべきもののようです。
でも、そんな準備はせず、まず食べます。
薄味、風邪を引いているので、あまり味がわかりません(苦笑)
あっ、これスゴイ!
なんと、商品説明が印刷されている紙が手漉きの和紙です。
こんなの見たことありません。
姫路城さんにお礼?の電話をしました。
よく貢ぎ物要求に気付きましたと誉めました(笑)
結局のところ、文書力ではなく、はんこの力で貢ぎ物をゲットしたようです。
良いはんことは、貢ぎ物をしたくなるようなハンコのことのようです(笑)
あれ、手漉きの和紙にお城があります。
こんなので良かったの?(笑)
注)お名前部分を消して、印影公開の予定でしたが、消すのが忍びなく、
何箇所か実際のはんことは変えてあります。
2012年07月15日
お客様に助けられる
経営コンサルさんのお客様が会社設立の際に、
印鑑は大切で、ここはイイはんこを作ってくれるからと連れて来てくれます。
はんこ屋は、その代表者とお話をするので、
経営コンサルさんとは、ほとんど、しゃべったことがありませんでした。
ところが今回、代表者さんが都合がつかず、経営コンサルさん一人でご来店、
初めて、経営コンサルさんと、まともにしゃべりました。
とにかく忙しいと嘆くと
「忙しいそうですが、オーラ消えてますよ」
「えっ、自由時間がほとんどなく、働いても働いても仕事が増えていくと、オーラも消えるよ。」
「パワースポットに行って充電したらどうですか」
「その時間がないんだよ」
「一人で、仕事をしていて、仕事量を減らそうとすると、どんどんなくなり、、
仕事量が増え過ぎるとパンクしてしまう、一人が一番難しいです」と言ってくださいました。
一般的にも一人の営業が気楽に見えて、難しいとなっていることがわかり、ちょっぴり救われます。
「ひとつ提案があるのですが」
「忙しいから、新しいことしないから」
しかし、その提案を聞くととても面白い、斬新なアイデアです。
注文が終わり、帰られた後、オーラがなくなったとか、言われるとショックだな。
近所の神社に行き、祈祷してもらうかななどと考え始めます。
それにしても、この提案魅力的だな、考えていると楽しくなってきます。
経営コンサルさんが、本物であったことが、なにより良かったです。
経営コンサルさん話をお客さんや印材屋さんに話すと、
しゃべってる自分も聞いている側もテンションが上がるのが分かります。
未来の希望、夢ができ、行き詰まり感のあった仕事に出口が見つかったのです。
この夢について考え始めてから3日目には、以前にあった明るさを取り戻しました。
オーラも取り戻した違いないと、長年誘ってみたかった、お得意先の受付嬢さんたちに
「今度、受付のみなさんと飲みに行きたいな」
「いいですよ」
「えっ。あっ、7人ですよね」あっさりOKです。さすがオーラ(ピンクか(笑))
「7人ではんこ屋さんを囲むってどうですか」
「それはない体験なので、やってみたい」
オーラを取り戻した自信ができました。
土曜日、やはり、長年当店と付き合いのある区立の小学校の副校長さんがご来店。
無駄話をしたことがありませんでした。
というのも、小学校が変わる毎に名刺を作りに来て下さるのですが、
印刷のお客様とはあまりしゃべらないからです。
その方が「人にはあまり言わないんだけど、私、感じる人なの」
「はあ」
驚かないので、不審げな顔です
「僕の妹は霊とかいろいろ見える人なので」とエピソードを交えて話します。
「ここのお店に名刺を頼むのは、第一に仕事をきちんとやってくれること
それと、ここは他と違うから」2度繰り返して言われました。
どうも、見えると感じるでは、種類が違うようです。
「他と違うから」が何を意味するかは、あえて聞きませんでした。
この方の話を聞き、途中でこれは、ぼくへのメッセージですねと言い、気づきました。
小学校を離れても、執筆活動などで
はんこ屋よりも長時間働いている方に忙しさを楽しみなさいと言われると納得です。
「わたしの周りにいると元気になるのよ。名前もいいの」
「左右対称」
不思議な程、自分と考えが近いところがあり、
「ここは他とは違うから、これから、もっと忙しくなる、でも忙しさを楽しいなさい。
健康には気をつけて、常に勉強は必要だから」と言われていると
うっすらと涙が出てきました。
はんこ屋は、元気にするのが、仕事なことを自覚しました。
長年のお付き合いながら、始めて話した二人からメッセージを受け取りました。
不思議です。お店から後光を感じると言われたような。
2012年05月04日
ロケット型
とは言っても、しぶちかはんこ屋は印相家ではなく、はんこ職人ですので、
父から教わったことを元に縁起が良いと言われていることを印影の中に彫り込むだけです。
美しいものには、何らかの力があると思い、バランス重視でお彫りしています。
最近、象牙の18ミリ丸の印相印を引き渡し、店舗で、押して頂いた時、
「鳥肌が立ちました」と何かを感じ、喜んで、頂きました。
嬉しい瞬間です。
正直、象牙は高価ですので、慎重にお彫りするとともに、
職人は時間がお金なので、ゆっくり時間を掛けて彫れるという面があります。
印相印はその人の分身と考えるのが基本です。
生年月日から合性の良い印材を決める流派、
人間より劣る動物の角を分身と考えるのはおかしいので植物性の印材しか認めない流派、
象牙は最高の印材なのでどの生まれ年の人に合うと考える流派と
印材と合性には、いまだに色々な考え方があります。
象牙で印鑑をお作り頂いて、明らかに成功者と思われる方を、たくさん知っておりますので
動物の角を否定するのは、良くわかりません。
まあ、占い霊能から始まった流派の印相家は、植物系が多いようです。
(すべてでは、ありません)
元々は、はんこ屋から始まった流派は、生年月日から合性の良い印材を決めることが多いようです。
(すべてでは、ありません)
自分ではんこ彫ったことのある人ならば、
木の弱さを知り、角の強さを知り、良い象牙の印材としての素晴らしさを知っているはずです。
印鑑が欠けたら、身代わりになってくれたと考え、作り直せば良いと言うようですが、
印相家の方は、印稿は書いたとしても、実際彫ることはしないでしょう。
昔は、その印稿を元に彫るはんこ職人がたくさんいたでしょう。
今は、ホントに手で彫っているはんこ職人は少なく、腕がある人ならば、
下請け仕事をわざわざしなくて良いわけです。
そういう状況、時代の変化のなか、欠けたら、また作ると言っても、
新しいハンコは、印稿は手書きでも
機械で彫りっぱなしのはんこになってしまうのではないでしょうか?
印材として強さも鑑み、一生ものとしての印章を提案していきたいです。
なぜ、こんなブログを書いたかというと、(うちの近所ではない)雑誌に広告をしている印相家に
お客様がいうには、高額ではんこを頼んでいた方が、このたび、当店にはんこを作りに来て頂きました。
そこで作ったはんこを見ると、文字は独特で手書き印稿ですが、枠の太さが不均一、
仕上げ彫りをした気配がまったくありませんでした。
このはんこを印相印というのでしょうか。
銀行印は、読めませんでした。
読めないので、どこが上かさえ、わかりませんでした。
実印登録は、できない自治体が多いと思われる書体です。
悔しいので、時間をかけて、読もうとした結果、わかりましたが、これはお名前を知っていたからです。
良い点は、機械の字でない点と
輸入の木ではなく、おそらく薩摩柘でニスの塗ったものであったことです。
輸入の木でニスも塗ってないものは、ホントに印材として弱いですので、その点は良かったです。
45ミリ丈で持つ側の先っぽが尖っています。
印相家のところのハンコは、なぜ、先っぽの尖った短い印材を使うのかは、知りません。
今回は色々話した結果、印材は本柘でニスを塗って、この形で作りましょうとなりました。
印材屋さんに注文したところ
「ロケット型ですね」
「えっロケット型っていうの?」
「そうですよ。」
「なんで、印相家の人はロケット型にするのかな?」
「僕が入りる前からのことなので、知りません」
左:ロケット型 右:通常の印材
確かにロケットに見えます。
宇宙兄弟の映画、始まりますね。
2012年03月29日
手彫りだからイイというわけではないんですね
前のお客様は、キレイな人への印鑑の引き渡しでした。
ダラダラと話していたかったのですが、
しぶちかはんこ屋ギャラリーをしげしげと見ている方がいましたので、
コンパクトなお引き渡しの儀式にしました(笑)
てっきり、このブログを読んでのご来店と思いました。
「下の名前で、桜を入れたいのですが、できますか?」
「できますよ」とざっと書き始めます。
「実は、最近(牛に引かれて行くところの近くで)手彫りのはんこを作ったのですが、
見本が可愛かったので頼んだ書体で、出来上がったはんこを見た途端、
あまりに残念な出来に悲しくなりました。
手彫りだからイイというわけでは、ないんですね。
一緒に作った友達の分は良かったのですが。
今日たまたま、こちらのはんこを見て、これだと思い注文しました。
出来上がりは送ってもらえますか」
「いいですよ。遠いんですね」
はんこを作って悲しい思いをさせたらダメだよ、知らないハンコ屋さん。
前向きな気持ちになれるものを作らないと。
お仕事を聞くと下着屋さん。
なので
「見ただけで、バストサイズわかりますか?」とはんこ屋の楽しみだけのために聞いてみます(笑)
「触ってみないと」
得した気持ちになる回答でした。
なんで、他のハンコ屋の失敗をカバーしなければならないんだと、ちょっぴり思いながら、
このカワイイ方のはんこに対するマイナスイメージを払拭しなければなりませんので、
「ここに桜以外も入りますよ。何か希望ありますか」
「ネコ入りますか」
「ネコか。
どんなネコですか」
「このネコを飼っているのですが」
ケータイで写真を送ってもらいました。
こうやって、自分で自分の作業量を増やしているんだよな(笑)
悲しくなるハンコの印影も、興味があるので、送って下さいとお願いしました。
ちょっと時間を置き、送られて来ました。
人を悲しくさせるハンコ。
これはヒドイ。どう考えても、ハンコを彫る修業をしてない素人のものです。
1本は古印体風で普通に彫ってありますが、字は曲がっているし、完成品とは言えません。
最初から枠に欠けがあったそうです。
下手なので、逆に完全手彫りと分かります(苦笑)
もう1本が更にヒドイ。
これです。
白文で彫ってありますが、独特な書体といっても、これでお金をとってはいけません。
プロなら縦で2文字彫り、センターから2文字目をズラすとしたら、絶対左にズラします。
ハンコはどんな時も右から読むことが染みついていますので、
2文字目を右にズラすはありえません。
真ん中の縦棒、少なくても1本は、真っ直ぐに近くします。
こうして基準を作ることで、印影のバランスがとれます。
基準無しで、バランス良く見せるには、相当のデザインセンスが必要です。
はんこ屋のプロと素人の違いは、お金取る取らないだけでなく、
どんな名前でもある程度のレベル以上で彫れるのがプロというものです。
ちょっと画像を補正してみました。
朱肉もあまり、上手くのらないそうです。
自然木だからか、表面を平らにしてないからか、どちらかの理由か、両方の利用かです。
あっ忘れるところでした。
これが、しぶちかはんこ屋謹製、前向きになるはんこです。
触らなくても分かります。触るともっと分かります(笑)
作り方よりも、そこに頼むとどんなハンコが出来るか、重要とお分かり頂けましたでしょうか。
2011年08月26日
ニューヨークからのお客様<朱文と白文>
まずは、ホームページからのお問い合わせがあり、日本に行く8月の2週間の間に、
水墨画と書に押す落款印をそれぞれ1本ずつ注文して受け取ることができますか?というものです。
それに対して、2週間くらいあれば、出来上がりますが、
石に彫る落款印はやっていませんので、木に彫る落款になります。
もし石に彫る落款をお望みでしたら、篆刻作家さんを探されるとイイと思いますと返信しました。
直ぐに返信があり、木に彫る落款を望んでいますので、お伺いします、とのことでした。
自分で分からないことの一つが、
自分が作成する木に彫る落款印は、一般的にはどのくらいのレベルにあたるかということです。
印相体系でモチーフを入れる落款は、他では作っている様子がありませんので
No.1と言ってよいでしょう(笑)
印篆や小篆で朱文、白文でお彫りするもののレベルです。
石に彫る落款印のコンテストはたくさんありますが、木となるとどうでしょう。
そんなことを考えているうちに時間が経ち、
ニューヨークからお客様がご来店され、その場でざっと書きながら、打ち合わせをして
白文と朱文で1本ずつになりました。
さて、どのようにお彫りしましょう。
先代の父から、ほとんど誉められた記憶がありませんが、
何かの時
「お前は、真似するのが上手だから、(はんこ職人として)大丈夫だ」と言われたことがあります。
一人、職人として、仕事をしていく上で、こんな一言が支えになるものです。
そうだ。
真似るのが上手いのだから、石の落款印のコンテストの優秀作品を、参考に彫ってみよう。
もともと木の落款印は石で彫ったように模刻するもの、こう考えた時に、
新聞に日展の優秀作品が載りました。
それを切り抜き参考にします。
印稿をなんども書き直し、とりあえず、一度練習でざっと彫ってみて、
太さなどを調整した上で、本番に臨みました。
朱文は、水墨画用ですので、絵の邪魔にならないよう、シンプルさを心がけました。
普段彫っているはんこに近い、朱文の方が白文より得意です。
白文は、本来はもっと太く(白が多く)直線的に彫るのが、伝統的かも知れません。
四角ばった白文の落款印にどうしても、魅力を感じられませんので、小篆ベースにしました。
出来上がりましたが、
前述の通り、この落款印がどのくらいのレベルか自分で、わからないわけです。
印材屋さんが、ちょうど来ましたので、評価を聞いてみました。
「朱文、上手いですね。完璧ですよ。白文は、やはり石とは違いますね。
それにしても、朱文上手だな」
「そんなに、誉めてくれてありがとう。
石でなく木で、このくらい彫れる人知ってる?」
「知りません」
落款印の注文を受けるのは、積極的ではなく、1ヶ月に1本程度です。
毎回久々感があり、彫りあがると、以前よりぐ〜んと、成長していると思うのです(笑)
さて、ニューヨークに帰るギリギリのタイミングで、受け取りに来られました。
ご注文の時より、ずっと笑顔です。
言葉を頂かなくても、気に入って頂いたことが、わかります。
どのくらいのものが彫れるのか、他の人の参考にしてもらうために
印影公開の協力をお願いしたところ、快く了承して頂きました。
そして「友達にも宣伝しておくわね」とショップカードを手にしました。
ご友人は、やはりニューヨーク在住なのでしょうか?
意識的に、本来離れているところを、くっつけるのが、落款印らしく見えるこつです。
そう、思い出しました。
初めて木で落款印を彫った時、
父に「木でこれだけ、彫れるのはスゴイ」と誉められてことがあったことを。
2011年07月21日
勇気を出して注文すると得するシステム
印稿を見せてもらったところ、あまりに酷いので止めたそうです。
うちで、頼めますかと問い合わせです。
事前に印稿を見せたりしませんし、印相体か上昇印相体かお迷いのようですが、
カタカナなら印相体で上向き部分もある、中間の書体がオススメですと回答しました。
分かるような分からないような、やる気があるんだかないだか、そんな回答です(笑)
にもかかわらず、ブログで紹介されている他の人の印影を見て、信じられるので、
オマカセでいいのでお願いしますと勇気ある選択です。
こちらからの質問は、「船長さんですか?」
よく聞かれるそうで、
「NASAの宇宙センターのパネルになっている船長にはお会いしたことはありますが(笑)」と
疑問が疑問を呼ぶ回答を頂きました。
そして、印鑑を送りました。
このような感想のメールが届きました。
どのような印影だったか想像してみて下さい。
『東堂印章さま
印鑑は無事に届きました。とても素晴らしい出来で大変満足しております。
姓はカタカナで長いので、どのようにデザインして下さるのかとても楽しみにしておりました。
必ず素敵にデザインして下さると思っておりましたが届いた印鑑をみて、
思った以上の出来に感激し、そしてそちらにお願いして本当に良かったと心から思いました。
バランスをとるのが難しかったと思いますが、「−」や「ス」の曲がり具合が可愛いですね。
使うのがとても楽しみです。
一生大事にしていきます。また何かありましたらお願いしたいと思います。
本当にありがとうございました。』
正直に言うとある意味簡単でした(笑)
ホームセンターで酷い印稿を見ていらっしゃいますから、
自分として普通に彫っただけで、比較対象があるので
すぐに、機械で文字を並べただけのものと、ちゃんと考えて手作りしたものとの違いが
わかるからです。
まあ信じてみるかと、勇気を出して注文するとお金以上の価値のあるものを
手にすることができるシステムなのです。
もし、船長さんだったらとざっと書いてみました。
ホントのご注文なら、もう少し上手いです(苦笑)
2010年07月08日
2009.2良い印鑑とは
ブログの下書きをしているうちに、他に興味深いお客様が来られたり、
他に興味のあることができ、このテーマは下書きで終わってしまうことがあります。
以下は2009年2月に考えていた良い印鑑についてです。
基本的には同じなのですが、
その時に、考えるきっかけになったお客様や自分が興味があるものによって
書く内容が違うのが、自分的には面白いです。
(下書きが途中でしたので、少し加筆しました。)
*
お客様が彫り直しのためなどに、お持ち頂いた印鑑を見ると、
直ぐに良いはんこか悪いはんこか、わかります。
正確には枠がかけてしまったモト良いはんこもありますが。
思ったことを口にしてしまうタイプなので、
正直に「これは、イイ印鑑ですね」とか
逆に「残念ながら機械彫りです」とか言ってしまいます。
良い印鑑の条件とは何か考えてみましょう。
1.同じ印影のものが存在しない
印鑑は、世界で一つだけのものであることに意味があります。
同じ印影の印鑑がいくつもあれば、本人が押したものか、どうか判断できず、
形式だけの捺印行為になります。
現時点では一つでも、機械彫りであればデータさえあれば、
同じものが簡単に出来てしまいます。
しっかりとした手仕事による印鑑であることが第一の条件です。
2.枠が欠けていない
枠が欠けていると、そこから運が漏れるといいますが、
何より壊れた状態なので、壊れたものを使って良いことはないと言うのは、
一般的な考え方だと思います。
3.印影のバランスが良いこと
パソコンのフォントのように見えるもの、
印相体というのに篆書に棒をくっつけて強引に枠に付けたもの、
完全手彫り・手書き印稿が故に逆に下手なもの、
文字の線同士がくっついてその部分だけ極端に太く見えるもの、
枠の太さが不均一な仕上げが甘いもの。
悪い例を上げるときりがありません。
一般の人は第一印象で、良いと思うかどうかです。
プロがみると、彫った人のちょっとした工夫がみてとれると、
もうそれは、とても良いはんこです。
良いはんことは、何かと、あらためて、考えるきっかけは、
篆刻をする弟さんが、お兄さんのために彫ったはんこを見せて頂いたことでした。
篆書ではなく印相体に近い感じで彫ってあるそのはんこ、
気持ちがこもった丁寧な印刻なのがわかります。
もしはんこ屋さんを目指したならば、良い職人になっていたでしょう。
残念なから印材は、自然木で弱いものでしたが、間違えなく良い印鑑です。
印相学の本に良い印鑑を見分け方が書いてありました。
それは無心に印影をみつめ、どのような感じを受けるかが判断の鍵となります。
子供の書いた字を見れば、直ぐに子供の書いた字とわかります。
それは童心が映し出されているからです。
このようなことが書かれていました。
*
1年半くらい前は、いまよりも、丁寧な説明に思えます(笑)なぜでしょう。
ある時に、他のはんこ屋さんとは、
明らかに違う印影のはんこが彫れるようになったことに気付き、
うちのはんこの印影が気に入って下さる方には、是非注文して頂きたいと思っています。
その反面、ブログなどで紹介している印影を見て、特に感じない人は、
どうぞ、その人にあったお店で注文して下さいと思ってしまったのです。
良い印鑑とは、作り方より何より、印影こそが重要。
その人に合った印影をと思って作り続けています。
渋谷スクランブル交差点下・東堂印章公式サイトへ
2010年06月24日
2010良いハンコとはA
それを励みに、12年経ちましたが、
なんとか潰れずにやっています。
引越しの際にそのはんこが見えなくなってしまい、
作るならここと再び来ました」
お持ち頂いた印影を見ると父が彫った、
一般的な篆書体の代表印です。
同じ篆書体でお彫りしても印影は変わるので、
登録し直す必要があることを説明して、お受けしました。
有り難いかぎりです。
うちで会社印を作っても、
潰れないということは、ありません(苦笑)
この方の場合、間違えなくご本人の意思の強さでしょう。
結局のところ、良いはんことは、どういうものでしょう。
3.自分にとって最高のはんこを手に入れたと実感できるモノ
本当は、しっかりとしたお店でハンコを頼みたかったけど、
時間がなかったので、とりあえず間に合わせで
(既製品を)買った、(機械彫りで)作った。
よく聞く話です。
こういう人が、何か良くないことが、起こった時、
ハンコのせいではと考えてしまいがちです。
そこが問題です。
ちゃんとしたハンコをお持ちの方は、ハンコのせいなどにせず、
本当の原因をつきとめ、
次に向かっていけるのではないでしょうか。
結局のところ、良い印章とは、書体や印材ではなく
使うヒトにとって、1番良いものを手にしたと
実感できるものなのではないでしょうか。
4.はんこは縁起モノと理解して
小さい会社に勤めて、すぐに言われたことは、
「名前を名乗る機会は一人に対して1回だけ、
はっきり伝わるように言いなさい」
名前の大切さを教わりました。
はんこは、自分の名前が刻まれたもの、
故に自分の分身と考え、縁起を感じるのは、当然のこと。
はんこで開運などと言うと怪しげで、
法律上もぎりぎりだそうです。
はんこは、自分の分身ですから、自分を見られている、
センスを問われているのです。
モチーフ入りの印相体で、ご印鑑を作って戴いた方に
縁起を聞かれると
「今までに印相体でモチーフを入れたはんこはなかったので
縁起は分かりません。八方位を意識して一生懸命彫りました。
あとは、お客様が良い方向に進んでくれれば
モチーフ入り印鑑は縁起の良いはんこと言われます」
あなたの分身が大量生産のものであったり
欠けて傷ついていませんように。
渋谷スクランブル交差点下・東堂印章公式サイトへ
2010年06月23日
良いハンコとは2010@
はんこは大切なものでしょ」
このように、言って下さり、
お引越しで渋谷が生活圏でなくなっても、
以前作ったことのある当店に、わざわざご来店頂いた方がいます。
父の時、父が亡くなって間もない頃、
そして今回と時間を置いての3本目の注文ですから、
一緒に歩んでいる感があります。
こういうことが、はんこ屋をしていてよかったなと思える瞬間です。
当店を目指して来店されたお客様をきっかけに、
時々、良いはんことは、ちゃんとしたはんことは、
どういうものか、そんなハンコを自分が彫れているか
考えることがあります。
良いはんこの条件をあげてみましょう。
1.世界で一つであること(最低条件)
はんこを押すということは、間違えなく本人が認めた、
確認したことを意味します。
同じ印影のはんこが簡単に手に入るのであれば、
捺印行為は、ほぼ形式的な行為になってしまいます。
現在では、役所関係の書類でさえ、
認印が必要ないケースがほとんどです。
既製のはんこ、機械彫りのはんこを押してあっても
あまり意味ないことに気付いてしまったからでしょう。
世界で一つのはんこの認定は、印面を顕微鏡で見て、
印刀のアトで判断されると聞いたことがあります。
手が加わっているかが重要なわけです。
2.機械で偽造されにくいモノ(現在では、この点も重要)
現在のハンコの偽造の手段は、主に印影をスキャナーで読み込み、
機械で彫らせたモノ、あるいは印刷されたモノです。
印刷による偽造のことは、よく知りません。
朱肉で押したものと印刷されたものでは、
ちょっと注意して見れば、違いが分かると思うのですが。
これは、はんこ屋としての範疇を越えていると思えるのです。
偽造なんて、自分とは関係ないと、多くの人が思うでしょう。
しかし、この仕事をしていると、
たまに実際にハンコの偽造の被害に合われた方に出会います。
既製のハンコの枠を自分でカッターでキズつけたものを、
唯一のモノと過信して使っていたものの、
枠の欠けまで真似されたと歎いているおじいさんがいました。
素人ができることくらい、
偽造のプロは簡単にしてしまうわけです(苦笑)
既製品のハンコを実印として登録できてしまう自治体もあります。
何か書類を手にした20代の男性がハンコタワーの認印を
何度も見比べ、とうとう購入しました。
たまたま一緒だったようです。
購入後、押した紙と印鑑証明書をぱらぱらと残像効果を使って
確認、納得しています。
悪いことをするプロな感じでした。
ほら、既製品を実印として登録してしまうからだと
こころの中で。
せめて、何かあった時、思い出せるように
よく記憶することしかできませんでした。
会社印では、注文書を偽造され、
裁判にまでなってしまったお客様がいました。
注文書に押してあるハンコが違うことに気付き
裁判所から、専門家に見てもらって来なさいと言われ
はんこ屋が、偽造ものは薄く押してありましたが
当店でお作り頂いたものと
明らかに違う点をいくつか指摘しました。
もし、このお客様が機械彫りのはんこを使っていたらと思うと
ヒヤッとする出来事でした。
はんこの偽造の被害に実際にあった方が、警察で、
枠に文字がついていなかったので、偽造されたと聞き、
印相体で作り直して以来、実印、銀行印はできるかぎり
印相体をススメルようになりました。
自分で彫っていても、枠にたくさん付いて方が、
仕上げ彫りに時間がかかることを実感していたからでもあります。
どんなに素晴らしい篆書体で彫ってあっても、
印影をスキャナーで読みとられてしまえば、
文字の輪郭はとられてしまい、枠に接しているのは、4箇所くらい
太さを調整され、簡単に枠を整えられ、篆書では
あっという間偽造されてしまいそうです。
篆書体には、奥深い良さがあるとは思います。でも。
最近読んだ、サッカー特集の雑誌の中で知りました。
ドラッカーはプロの責任とは「知りながら害をなすな」であると
言っています。
「知りながら害をなすな」というのは、
悪いことと分かっていながら、
それを放置する行為のことだそうです。
スキャナーで読み込む偽造を知ってしまった、
はんこ職人のみなさん、その対策を放置していませんか。
それではプロの責任放棄です。
渋谷区では、モチーフ入り印鑑を見て、
「細かいので、スキャナーで読み込むと潰れてしまうので
偽造防止になって良いですよ」とモチーフ入りで
印鑑登録を認めてくれたそうです。
スキャナーで読み込む偽造手段がこれほどまで、
ポピュラーになってしまっているんですよ。
つづく
「知りながら害をなさない」サムライブルーが
デンマークを倒すことを信じて!
あれっサッカーの話になってる(笑)
渋谷スクランブル交差点下・東堂印章公式サイトへ