このテーマのブログを書き始めた時、紙があるならば、はんこは必要という結論をなんとなく考えていました。
科捜研で筆跡鑑定と印鑑の鑑定をしているお客様から、筆跡を調べると本人のものである、本人のものでない、不明も鑑定結果としてあります。そこに認印でもはんこが押してあると情報量が違ってきますと聞いたことがあります。
ところが違う結論が待っていました。
歴史を振り返るとはんこの本質というか大前提は同じ印影のはんこが無い事とあらためて気付きました。
一つしかないものなので偽造をしようとしたとも考えられます
。
一つしか無いことがはんこの本質にも拘らず、はんこタワーの存在があります。この既製品、作るロットは同じ印影で、次のロットを作る時には少し印影を変えて作ると言われています。
しかし、同じ印影のものが世の中に存在しているにも拘らず正式なはんことして使えてしまうことが間違っている気がします。
昔、はんこタワーで既製品の認印を販売すべきではないと言う議論が印章組合で起きたと読んだことがある気がしますが定かではありません。
次にシャチハタネームが登場し、銀行印など正式なはんこにならない理由は、同じ印影のものが簡単に買えてしまうからが本当の理由と推測されますが、朱肉を付けて押さないことを理由に銀行印にならないとしているようです。
ゴム印は変形しやすものとして、登録出来ないようですが、耐油ゴム(黒ゴム)で作れば、そうでないような。
以前は商常識として、角印はゴムで作っても、丸印はゴムでつくってはいけないとされていました。偽造の手段となり得るからです。
更に100円ショップのはんこが出来てしまいました。これは彫って無く、型にプラスチックを流し込んで作っているので、例えばDAISOさんならどこのDAISOさんで買っても同じもの、無くしても同じものが買えてしまうわけです。はんこ屋から考えると、もうこれはシャチハタネームと同じレベルの信用度と思えます。
自分もはんこタワーで既製品を売っていますので、偉そうなことは言えません。
2025年はんこは必要か?
オーダーのはんこは必要。
既製品のはんこは不必要。
残念ながらこれが今回の結論です。
河野元大臣がはんこレスを政治的なパフォーマンスとして行いました。
辞めた今、その揺り戻しで、はんこが必要な所があらためて出て来ると思っていましたが、聞こえて来ません。
それは既製品のはんこを押す事にあまり意味がないことに気付いているからではないでしょうか。
例え機械彫りであったとしても、オーダーして作ったはんこを使うべきです。
そして、使うことが少ないからこそ、ちゃんとしたはんこを使って欲しいです。
日本にお住まいの外国人さんの中には、サインの代わりとなるものを機械で簡単に作っていいのかと考えて手彫りを望んで下さる方もいます。
今の実印、印鑑登録制度が時代に合っていないことに気付いてしまいました。
次は、もし印鑑登録制度を変えるなら、こんな風にと提案を考えてみます。
またね。