2025年04月26日

2025年はんこ必要か?結論

このテーマのブログを書き始めた時、紙があるならば、はんこは必要という結論をなんとなく考えていました。


科捜研で筆跡鑑定と印鑑の鑑定をしているお客様から、筆跡を調べると本人のものである、本人のものでない、不明も鑑定結果としてあります。そこに認印でもはんこが押してあると情報量が違ってきますと聞いたことがあります。


ところが違う結論が待っていました。

歴史を振り返るとはんこの本質というか大前提は同じ印影のはんこが無い事とあらためて気付きました。

一つしかないものなので偽造をしようとしたとも考えられます


一つしか無いことがはんこの本質にも拘らず、はんこタワーの存在があります。この既製品、作るロットは同じ印影で、次のロットを作る時には少し印影を変えて作ると言われています。

しかし、同じ印影のものが世の中に存在しているにも拘らず正式なはんことして使えてしまうことが間違っている気がします。

昔、はんこタワーで既製品の認印を販売すべきではないと言う議論が印章組合で起きたと読んだことがある気がしますが定かではありません。


次にシャチハタネームが登場し、銀行印など正式なはんこにならない理由は、同じ印影のものが簡単に買えてしまうからが本当の理由と推測されますが、朱肉を付けて押さないことを理由に銀行印にならないとしているようです。

ゴム印は変形しやすものとして、登録出来ないようですが、耐油ゴム(黒ゴム)で作れば、そうでないような。

以前は商常識として、角印はゴムで作っても、丸印はゴムでつくってはいけないとされていました。偽造の手段となり得るからです。


更に100円ショップのはんこが出来てしまいました。これは彫って無く、型にプラスチックを流し込んで作っているので、例えばDAISOさんならどこのDAISOさんで買っても同じもの、無くしても同じものが買えてしまうわけです。はんこ屋から考えると、もうこれはシャチハタネームと同じレベルの信用度と思えます。


自分もはんこタワーで既製品を売っていますので、偉そうなことは言えません。


2025年はんこは必要か?

オーダーのはんこは必要。

既製品のはんこは不必要。


残念ながらこれが今回の結論です。

河野元大臣がはんこレスを政治的なパフォーマンスとして行いました。

辞めた今、その揺り戻しで、はんこが必要な所があらためて出て来ると思っていましたが、聞こえて来ません。

それは既製品のはんこを押す事にあまり意味がないことに気付いているからではないでしょうか。


例え機械彫りであったとしても、オーダーして作ったはんこを使うべきです。

そして、使うことが少ないからこそ、ちゃんとしたはんこを使って欲しいです。


日本にお住まいの外国人さんの中には、サインの代わりとなるものを機械で簡単に作っていいのかと考えて手彫りを望んで下さる方もいます。


今の実印、印鑑登録制度が時代に合っていないことに気付いてしまいました。

次は、もし印鑑登録制度を変えるなら、こんな風にと提案を考えてみます。

またね。

posted by 一日3本 at 10:42| はんこは必要か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年はんこは必要か?日本の歴史編2

日本では奈良時代、平安時代は統治とはんこが結び付き発展しました。今と違い金属製ですので、作り方は分かりません。

天皇のはんこを内印、中央政府のはんこを外印といったそうです。

天皇のはんこは金です。

やはり、偽造と戦いの歴史で、内印を偽造した時の罰、外印を偽造した時の罰、他のはんこを偽造した時の罰がそれぞれ書かれた文章が残っているそうです。内印はたくさんの種類があり、どれが本物か分からないそうです。


明治に入り、内印を作り直すに当たり、唐三寸を日本の三寸にしてしまい、サイズが大きくなってしまったそうです。更に隷書で最初作らせ、格式を感じないので、篆書で作り直したそうです。

はんこについて、あまり知らない人が口を出して、はんこの歴史を壊すのは昔からあったことなのですね。


紙幣に使われているはんこの印影、あれは彫った職人のベストでないものを役人が選んだのではと、思っています。


また大臣のはんこをなぜ、横書きにしてしまったか?まったく意味を感じません。はんこは縦書きの世界なのに。はんこの歴史、職人を否定しているようにさえ思えます。


鎌倉時代、統治とはんこの関係が無くなり、押す機会は減りました。日本独自なサイン、花押が始まりました。

花押については良く知りませんが一点だけ、花押は本人が必ずしも書いたわけではなく、秘書のような人が代行で書いていた例もあるようです。

たくさんの書類に必要な場合は、板に花押を彫って、墨で押したそうです。


鎌倉時代、はんこは仏教とくっ付き、面白く発展しました。

文字を彫らずイラストを彫って名前を表したものがあったり、梵字を彫ったものがあったりしたそうです。

現在、私が梵字を彫ったり、イラストだけ彫るように頼まれたりするのは、先人達がすでにしていたことなのですね。


この時代に朱肉が使われるようになり、柘植の木にはんこが彫られるようになりました。

最初、はんこ彫る技術者がいないので、印仏(小さな板に仏様を彫ったもの)を作っていた人に彫らせたようです。

歴史を追っていくとキリが無いので、はんこ歴史を考えることで、はんこの本質を理解しようとしていました。


はんこの本質、大前提ははんこはそれぞれ1本しか無いことだとあらためて気付きました。

posted by 一日3本 at 07:21| はんこは必要か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月16日

2025年はんこは必要か日本の歴史編1

あまりに自分が日本史を知らないことに気付き、日本史の流れが分かる本を読んでいました。
それでリリースが遅れました。

1.国宝の金印


その本に、国宝の金印について書かれていました。

中国の漢の時代には、国賓に対して、はんこを渡していたそうです。紀元57年、文章に奴()の国王にはんこを渡したとあり、そのはんこが現存していて、文章と物がある珍しい例だそうです。

「漢/委奴/国王」漢の属国である倭の国(日本)の中にある奴の国王

という意味です。

奴の国は九州にあった小さな国だそうです。


日本は弥生時代で、海を渡って中国の皇帝に貢ぎ物をしたのは、後ろ立てが欲しかったからだそうです。


さて、印章の歴史の本ですと金印について違う解釈があります。

当時の国賓に与えていたはんこに合致しているのは、@最初に「漢」の字Aサイズが21ミリちょっとB白文、文字を彫っている陰刻C金である。

また、委を和の国としていて後の時代では倭に変わっているので、漢の時代のものと推定されるそうです。


一方合致していないのには@持ち手の所が本来、亀であるべき所蛇になっています。A印分の最後に章または印が無いB「国」の字が入っている。

本来なら「漢/委奴/王章」となっているべきだそうです。

この事からあの国宝の金印は公印ではなく、私印であると考えられるそうです。


なせ私印を作ったのかは、謎ですね。文章が残っているので、奴の国に、はんこを印綬させたことは事実としてあるようですが、なぜ残っている金印が様式が明らかに違うのか、本当に自分達で作った私印なのか、公印を様式を変えて皇帝が作らせた物のか?謎が解決する日が来るのでしょうか。

はんこの歴史の本は昭和41年発行のものなので、今は違う解釈があるかも知れません。


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posted by 一日3本 at 11:32| はんこは必要か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月02日

2025年はんこは必要か?歴史編1

2.はんこの歴史

はんこの歴史について、それほど詳しい訳ではありませんので、勘違い間違いがあるかも知れません。その点、お汲み置きをお願いします。


2.1はんこの始まり

始まりは紀元前5000

メソポタミアの地で農耕文化の中、植物紋や文字を彫ったものを押し、所有権を表すと共に、呪術的であったそうです。


紀元前5000年ということは7000年前からはんこってあったんですね。

はんこは、最初から呪術的であったところがとても面白いです。外見とは全く違うものが押し出て来るのが魔法のように感じたのでしょうか?

形は円筒形なものピラミッド型なものと色々だったようです。


それが東は中国に伝わりました。中国では統治(政治)とはんこが結びつくことで発展しました。

西に伝わってもはんこは発展しませんでした。


2.2中国のはんこ

まずは封泥(フウデイ)といって柔らかい粘土に押し、それが乾燥して丈夫になります。

火事にあったものも、残っているそうです。

気になるのは、統治にハンコが使われることで、発展し、その反面ハンコの偽造との戦いが始まったようです。

その後、ハンコは身分を表す儀式で使う装飾品のようになったそうです。

6カ国を統一した秦の始皇帝によって、小篆が編纂されました。

はんこを使う様式もできたようです。

次の漢の時代の後半に紙が発明され普及しました。そのことにより

はんこは紙に朱肉で押すものに変わっていきます。

この紙の普及により、ハンコより署名が重視され、はんこの様式の統一感が無くなった説もあるようです。


次は日本のはんこの歴史について書く予定です。

posted by 一日3本 at 07:24| はんこは必要か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月24日

2025年はんこは必要か?前編

はんこは必要かという大きなテーマを論じる場合、まず「はんこ」とは何かを明らかにする必要があります。哲学の本を読んで、テーマに入る前に、前提となる言葉の意味を明確にする必要があることを知りました。

では、まず「はんこ」は何かについて書いてみます。


1.はんこの種類

はんこというと、とても広義な意味になります。

1.1朱肉につけて押すはんこ

1.2シャチハタ(浸透印)

1.3ゴム印

1.4消しゴムはんこ、芋ばんなど


所詮はんこ屋ですので、自分のお店で扱っているはんこについてだけ、論じることが出来ます。 

1.4消しゴムはんこなどについては取り扱っていませんので、詳しくなく

論じることはできません。

 

はんこの種類毎に必要かどうか考えでいけば、良いのだなと気付きました。 


1.3ゴム印は会社においては事務の効率化、正確性のために使用されていました。

パソコンの普及により、大幅にその役割が削られ、更に書類の電子化により、その役割を終えつつあります。

個人においても昔は、年賀状に使う雅印(ガイン)を作る人がたくさんいました。これもパソコンの普及により雅印を作る人がいなくなりました。そして今は年賀状自体出さなくなりつつありまず。

ゴム印はパソコンの普及、電子化の2段階で、必要性はかなり薄くなっています。

必要かどうかは、はんこ屋ではなく、ゴム印を使う側の状況次第というところです。

はんこ屋としては、ゴム印を使うのは意外と便利なんですよと薦めたいです。


1.2シャチハタ(浸透印)について

シャチハタ以外のメーカーでも

スタンプ台無しで押せる浸透印を作っています。

しかしシャチハタ製品だけが、裏側からインクの補充が出来ます。

他のメーカー品は表面からインク補充をするので、上手くインク補充できないことが多いです。

シャチハタはインクの技術が素晴らしいです。

当店では、領収証、納品書にシャチハタの住所印を使っています。

小規模のビジネスで紙の書類には、シャチハタの住所印は便利です。


シャチハタのネーム印は必要でしょうか?

シャチハタネームが新発売された当初、銀行側がその商品がどんなものか分からず、銀行印としてシャチハタネームを登録してしまった例があります。お客様にシャチハタネームが銀行印になっている通帳を見せてもらったことがあります。

直ぐにシャチハタネームは銀行印にならなくなりました。

シャチハタネームはなぜ正式な書類に使えないかを考える前に、はんこの本質的な意味を明確にする必要があります。


そこで、次は、はんこの歴史について書く予定です。


posted by 一日3本 at 07:24| はんこは必要か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする