外国人観光客の方が、はんこタワーを指差し、これはなんだ?と聞いてきます。
「ジャパニーズ ファミリーネーム」とカタカナでしかも単語で答えます(笑)
日本ではハンコがインステイド オブ シグネチャ(サインの代わりに)使われますと説明を加えます。
すると外国人さんが首を傾げ、
誰もが手に入るものが、サインの代わりというのは、オカシイと言います。
僕もそう思います。オーダーメイドのハンコだけが本当はサインの代わりになるんです。
首を傾げながら、外国人観光客さんは去って行きます。
2度目の出来事です。
日本の印鑑制度が破綻していることが、外国人からみると、直ぐに明らかになるのだなと思います。
今度はサインの代わりではなく、チェックマークの代わりと説明してみよう。
このところ、外国人さんからの注文が増え、それも様々なパターンがあります。
日本で住み始めたカナダ人さんが1本頼み、更に追加でもう1本。どうして2本もいるのですか?とお聞きすると
君の仕事は素晴らしいからコレクションだよと言って頂きました。
日本で住み始めたフランス人さんは、近くで銀行印を作ったら機械彫りだったので、オフィシャルなハンコは手彫りの所で作りたいと調べて来てくれました。
ご注文時にざっと書いたものを見て、これはまるで1枚の絵のように見えると褒めて頂きました。
日本に観光に来たスペイン人さんは、モチーフに雲を入れたハンコを注文され、出来上がったらスペインに送って下さいと言われれました。
日本語のまるで分からない人からモチーフ入りの印鑑を注文して頂くのは、それは大変なことでした。
柘で注文され2日後に再びご来店で黒水牛にランクアップして頂きました。接客に時間がかかっていますので、有難いです。
今はイギリスにいて、近いうちに日本に住むことになるので、ハンコに関する問い合わせを英文メールで頂きました。
英文メールが来た時には、まずマイ イングリッシュ イズ リミテッドから始めます(笑)
ドイツからの注文は日本で使うというわけではなさそうで、印鑑が着くと、アナザーワンを頼みたいと思っているとメールがやって来ました。
実用品としてではないハンコの注文を世界から受けていくという、目標に少しずつ近付いています。
昨日はシンガポールから日本語を勉強しに来た方に、どのはんこが日本ではスタンダードですか?と聞かれました。
そもそも、うちのお店がスタンダードではないので、どう答えたものでしょう。
既製品のハンコで済ます方から専門店なのでハンコは大切なものなのでと10万円以上するものを頼まれたり、様々です。
と答えるのが精一杯でした。
日本語のどこが難しいかお聞きすると、一つの漢字で読み方、意味がいくつもあることだそうです。
中国語の漢字は読み方は一つだそうです。
外国人からの目線で分かることって色々ありますね。
外国人の方は既製のハンコがないのがわかっていますから、素直に注文頂き、可愛いです。
一方、日本人は珍しい姓でも、なんとか既製品がないかと探し歩いていたり、あっても気に入らないからと言ってみたり、可愛いくない人が結構います。
既製品を使うなら、品質をいってもしょうがないのにとトモゾウ心の声です。
試し押しをしたいと言われると、既製のハンコは朱肉を付けると、それで売り物で無くなりますので、できませんと答えます。
朱肉が付いているということは、何に押されているか分からないものを買えますかとトモゾウ心の声。
既製品のハンコで色々言ってくる方に、売りたくないですかと聞かれ、
「売りたくないです。うちはオーダーでハンコを注文して頂くのがメインなので」
しまったトモゾウ心の声ではなく、実際に声を出してしまいました。
もちろん何も買わずに帰って行かれました。
まあ、色々言ってくるのは、気に入らないから。でも既製品はその一本だけ、千円の予算では、うちでは作れないし、ハンコを作るのにどのくらい時間がかかると考えたことあるのでしょうか。まあ考えてみたこともないというのが正解でしょう。
ぼくの時間はもうご注文頂いたお客様に売ってしまっているので、既製品のために割ける時間は僅かなのです。これはトモゾウ心の声。
日本ではハンコは、サインの代わりに使われています。
誰でも手に入るものがサインの代わりなんてオカシイ。
ハンコだけでセキュリティを保っているのでないとしても。
東堂印章 荒見英樹