2009年05月11日

象牙の見極め方

象牙を彫り直して、使おうと思う人の多くが、
購入した本人ではありません。

形見や頂いたものであることが多く
それが象牙なのかもはっきり、わからないケースもあります。
当然、象牙の印章の金額を知りませんし、
最初は印刻料込みであったわけですから、
象牙の印材自体の価値がどの程度かは
象牙を扱っている専門家ではないとわかりません。

それを見極めるには、近くのはんこ屋さんに持っていくのが
一番早いと思うのですが、
現在信頼できる印章店は、ごくわずかというのが原状です。

そこで、参考までに象牙の良し悪し、
彫りなおす価値があるかどうかの見分け方を書いてみましょう。

1.彫り直しできない象牙
  印材の横の部分にひびが入ってしまったもの
Image227s.jpg

  目が粗く古いものや保管状態が悪かったもので
  脂分が抜けてしまいヒビ割れてしまった可能性が高く
  これは、彫っているうちに、
  印材が裂けてしまうことも考えられますので
  彫り直しできません。
  一度ヒビ割れてしまったものを修復する方法も、知りません。
  
  余談ですが
  一時期はやったマンモスの印材は当然古いものですので
  何年か後にヒビ割れても当然です。
  ですので、当店ではお取り扱いしません。

2.できたら彫り直ししない方がよいもの
  @海外で加工したもの
   象牙の印材の長さを測ってみましょう。
   日本で印材に加工したものは、通常
   長さが36ミリ、45ミリ、60ミリです。

   中国で加工したものは62〜3ミリことが多いようです。
   
   日本で加工したものは、象牙の芯にそって取りますが
   他の国で加工したものは、芯にそってではなく
   目など関係なくとってある場合もあり、
   その場合、外側から見分けることも難しく、
   彫っているうちに、やはり裂けてしまうことがあるそうです。
   はんこ屋の先輩は経験しています。

   当店では、預かった象牙が一晩空気にさらしているだけで
   ヒビが入ってしまったことがありました。

   以前ワシントン条約以前に中国で買った象牙を
   持ち込まれました。
   それは、見た目は焼けてしまい古くなっていましたが
   彫ると意外なほど良い象牙でした。
  
  A印材に龍など細工が立体的に彫ってあるもの
   印材の上の部分に細工が彫ってあるもののほとんどが、
   海外で加工したものです。
   これはちょっと思ったことで、確認は取れていませんが、
   あまり目のつまった堅い象牙は
   立体彫刻には向かないのではないかと思っています。
   良い象牙は堅くてもスパッと切れる彫り易さがあるので、
   なんとも言えません。
   あまり良い象牙に細工してあるものを見たことがありません。

   一度だけ、お客様の亡くなったお父さんがはんこ屋で
   その父さんが持っていたものは
   多分日本で細工したと思われるとても良い象牙でした。

 B横目、芯持ち
  象牙の印材の中で一番高いのが横目と芯持ちです。
  しかし横目は年輪のような模様が出て美しいのですが
  芯に対して垂直にとったものですから、印材として弱いです。
  芯持ちは、象牙の芯は太く、状態に寄っては、
  その芯の穴部分を印影的避けて彫らなくてはならず、
  デザイン的に難しくなります。
  偶然避けれることもありますが、頼む際は、そのお店の実力を
  十分吟味した方が良いです。

3.目を見る
  印面とは反対の面を見てみましょう。
  そこを見ると象牙の良し悪しがわかります。
Image228s.jpg

  左が当店で通常使っているもの、目がかなり詰まっています。
  右が持ち込んで引き取りこないもの、目がはっきり見え、
  しかもやや細かい部分と粗い部分があり、
  象牙の芯から遠い端の部分とわかります。

  脂分が抜けて、かさかさとしてしないことが第一条件で
  次に象牙の印材の良し悪しは色合いより目の細かさが重要です。

4.信頼のブランド
  以前に手で彫ってあるものは、
  再び手で彫れる可能性が高いです。
  (しかし手で彫ってあるか見極めるのは難しいです)

  特に(上のしるしに)金丹が入った象牙は、
  間違えなく良い象牙です。
Image229s.jpg
(これは18金です)
  特に24金のものは、もう最高級ですので、
  是非彫り直ししましょう。 
  今までに2度ありますが、どちらもとても良かったです。

5.象牙でないもの
  白っぽくて象牙でない練り物(加工品)の特徴は
  印面と反対の面を見ると同心円になっていることが多く
  彫りなおしてまで、使う価値があるかどうか。

  エブリナという象牙の粉とセラミックを混ぜたものが
  練り物中では、最高級で、
  彫り心地は象牙を彫っているのと変わりません。
  そのため、金額的に象牙の印刻料と同じになってしまいます。

  彫ったことのない印材は、彫れるかどうか、こわさがあるので
  ちゃんとしたお店こそ注文を受けません。

全てに例外がありますので
ご参考程度に。

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2006年04月27日

象牙の彫り直し価格

<象牙の彫り直し3>
「名前だけ彫ってもらおうかと考えているのですが」
「お客様がお持ちになった象牙は、16.5ミリ丸、
 もし15ミリ丸なら、それも良いのですが、
 16.5ミリ丸で名前だけですと、ちょっと大き過ぎます。
 うちは手彫りですので、まず偽造されることはないのですが、
 それにしても姓名彫ってより複雑にした方が安全性が高まります。
 このサイズでは、姓名がオススメです。」

「それでは、姓名で象牙の彫り直しお願いします」
「書体は印相体でよろしいですか」
「変わったものが好きなんですけど」
「それでは、印相体でも当店のオリジナル書体があります。
 私のおじいちゃんが気に入った人に
 こっそり彫っていた印相体でラインを上向きにする上昇印相体」
「力強いのが好きなんだけど」
「家を支える柱をイメージして彫る、角ばった構印相体もあり
 力強さというとこちらの方です。
 オリジナリティが高いのは、行書を元にした行印相体もありますが、
 オススメは上昇印相体です」

上昇印相体の書体見本を見て
「全部上向きにしているのですね。これは手間でしょう。
 同じ金額でいいのですか」
「もちろんいいですよ」
「では上昇印相体でお願いします」

「いつ必要ですか」
「急ぎませんので、それは職人さんの都合で」
「では1週間いただきます」
「よろしくお願いします」

「良い象牙は堅いだけでなく、
 スパット切れ味鋭く彫れて、
 細かい細工に向いているなと感じられるんです。
 この象牙も、とても良い彫り心地だと思うので、
 今から楽しみです。」
「よろしくお願いします」

このお客様からは、とても的確な質問をして頂き、
自分の中での集大成のような説明が出来ました。
何より良い象牙なのではんこ職人として彫りたかったんです。

<2008年に改定しました>
象牙の彫り直し(個人用)は、店舗では、
15ミリ丸以下で姓名彫る場合は¥20,000−、
15ミリ丸以下で苗字または名前だけ彫る場合は¥15,000−です。
16.5ミリ丸以上は、姓名でもどちらかだけでも、¥30,000-です。
(彫る面積が大きいと時間がかかるためです)

象牙を見てみないことには、彫れるかどうか、
どのくらい短くする必要があるか分からないので、
ネットからの注文を受けるのは、難しいなと思っていたら、
ネットから象牙の印刻の依頼が…
このことはまたの機会に。

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2006年04月26日

象牙の彫り直しの縁起

<象牙の彫り直し2>
「彫り直しは縁起的にはどうなんですか」
「印相学では印鑑はその人の分身と考えますから、
 その人の一生が終われば、印鑑の寿命も終わったと考えます。
 印相学上、彫り直しは縁起が良いとは言えません。
 
 しかし、象牙はワシントン条約以降、
 2、3年に一度政府の許可のもとにしか入って来ません。
 その象牙は、油が抜けてしまっているもの、
 やけて色が悪いものなどあまり良いものはありません。
 お客様のお持ちの象牙は、とても良いものなので、
 彫り直して新たに生まれ変わったと考えれば、
 縁起が悪いとも言えないでしょう。
 形見としてお持ちになるのなら、実印は適したものですし。」

「どのくらい短くなるの」
「お客様の象牙は、表面にもキズがなくきれいなものですので、
 3ミリくらい短くなります。
 もし縁起に凄くこだわるなら現在75ミリありますから、
 印相学上、意味のある60ミリにすることもできます。
 還暦の60才と同じで干支が一回りする60に意味があるとされています」

「なんでこの印鑑は長いんだろう」
「印鑑は短いと短命につながるといい、
 長いと長命につながるといいます。
 それより、長いものはテコの原理で押しやすさがあります」
「短いと押しにくいのは知ってたけど、長いと押しやすいの」
「昔、銀行にお勤めの方は、
 仕事用に90ミリの長さの印鑑を使っていたくらいで
 本当に長いものは押しやすいんです。
 素材的にも象牙は押しやすいんですけど」

「名前だけ彫ってもらおうと思っているんだけど」

まだまだ続くお客様の質問、
はんこ屋職人さんは、注文までたどり着くことができるのでしょうか?

またまたつづく

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2006年04月25日

象牙の彫り直し(良い印鑑)

<象牙の改刻1>

印鑑の彫り直しを検討されている方が来店されました。
「彫り直しは、やってもらえますか」
「材料はなんですか?木や石類は、できませんが、象牙ですか」

「形見なのでよくわからないのですが、持ってきています」
「象牙ですね。これはイイ象牙で彫り直す価値のあるものです。
 きっと高かったと思いますよ」

「象牙にも良い、悪いがあるのですか」
「目の細かいもの、油が入っているものが良いものです。
 うちが使うのは、やはり一番良いもので、
 このように目の細かいものです。
 こちらがサンプルの目の粗いものです」
「本当だ。はっきり違いがありますね」
「お客様がお持ちになったものも、
 目の細かい、油の入った良い象牙で、
 色も正にアイボリーとても良いです。押してみていいですか」

「どうぞ。良い印鑑ってどういうものなんですか」
「まずは、手で彫ってあるもの。
 お客様がお持ちになった印鑑のように、
 印相体の場合、枠が細くて均一なのが手の入っている証拠です。

 次に枠が欠けていないこと。
 欠けた印鑑は、そこから運が漏れると言いますし、
 それは印鑑としては壊れた状態ですので、
 壊れたものを使っていて良いことはありません。

 八方位、八方向に文字が枠に付いていることも重要です。

 後は、印影のバランスですが、
 この印鑑より私が彫った方がちょっと上手いです。
 空間、あきの気になるところが2ヵ所あります。
 自然な形で、空間を埋めることができます。
 ただあまりぐちゃぐちゃに線を伸ばして
 読めなくしてはダメなんですけど。
 区役所、市役所の人は書けなくても読めるそうですから」

「読めなければ印鑑登録できないんですか」
「一度、通販で購入した印鑑を
 渋谷区役所で印鑑登録しようとして
 役所の人がはんこ屋さんに読めるかどうか
 見てもらいなさいと言われ
 うちに来たことがありました。
 ぐちゃぐちゃ過ぎて、
 名前を聞いたらなんとかわかる程度で、
 これは読めないと正直に伝えました」

「実際のところ、彫り直しは、(縁起的には)どうなんですか」

次々に繰り出されるお客様からの質問に答え、
はんこ屋職人さんは納得して頂き、
象牙の彫り直しの注文を受けることができるのか?

次回お楽しみに!

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