2021年07月14日

この字は何だろ?

昨日は、娘がお店に手伝いに来てくれ、主にパソコン作業をしてもらいます。
既製品として販売している篆書体のハンコを機械彫りでお願いしていた時、パソコンのモニターになんだこの字、わからないけどと思いました。
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皆さんはこの字、読めますか?
桑の旧字っぽいけど、草冠がついているし、
これが桑の旧字の篆書です。
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娘に他の篆書のフォントを使うように指示しました。
するとこれに近い字が出てきて、やっと読めました。
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これならば葉と読めます。
普段から篆書体でも、印相体でも、なるべく今の楷書に近い字を選択して作成しています。
篆書体はほぼ読める気持ちでいますが、それは自分が選択する篆書の形だけを覚えていることに気付きました。
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2021年07月06日

象牙婚式って知ってますか

仲良しのお客様の紹介で、象牙婚式に象牙の印鑑を贈ることを考えているので、金額を教えて下さいということがありました。
えっ象牙婚式を知りません。

仕方なく、ネットで軽く調べると結婚14年目の記念日に象牙のものをプレゼントし合う風習のようです。
永くはんこ屋をやっていますが、初めて知りました。

イマドキ、象牙のものというと、印鑑以外に何があるのでしょうか?
和楽器、三味線のバチや琴の琴柱などは象牙が一番良いと聞きます。
最近来られたお客様の実家に象牙の鍵盤のピアノがあると聞き、驚きました。

麻雀牌も象牙のものがあったようですが、やけて色が変わってくるので、見て牌が分かってしまうのではと思えます(笑)

昔、台湾にいた時に象牙のお箸を買って、今ではなかなか手に入らないものになってと聞いたこともあります。

象牙の取り扱いが厳しくなり、扱える商品も少なくなり、高額です。
結婚14年目に象牙の印鑑は、正直、遅い気がします。
実印は自動車を購入する時、相続の時、家を購入する時、会社の代表になる時、保証人になる時などが考えられます。
結婚14年目ですと、実印は作ると一生物ですので、ちょっと遅い感じがします。

間に合わせで、テキトーなハンコを実印にしてしまっている人が作り直しには、とても良いタイミングかも知れません。

象牙婚式を残すには、色がアイボリーのものを送り合うくらいがいいかも知れません。
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2021年06月16日

印鑑に使われる漢字の書体まとめ

印鑑に使われている書体について、簡単に図にしてみました。
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まず注意点は、小篆より古い文字は、印鑑登録できない地方自治体があるということです。
気を付けましょう。

印章新体とは、全日本印章業協会が出している字林で、日本にしかない漢字を篆書風にしたものです。
この本でしか、こんな名称を見たことがありません(苦笑)

印篆と印章新体を合わせて篆書体という、イメージです。

前回書いたように吉相体は印相体を真似たものと思われまず。

結局のところ、印相体と古印体が日本で生まれ書体です。

印相体で気をつけてるべき点は、アレンジしすぎて読めないものは、印鑑登録できない場合があることです。
もう一つは、縁起担ぎから霊感商法に結びつきやすいことです。
幸いなことに、ハンコレスとはんこ職人の少ない時代ですので、そこが作る印影をよく見れば、
分かるはずです。
機械彫りでは印相体はまともに彫れません。

結局のところ、古印体と印相体が日本生まれの書体です。
日本のものを大切に。


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2021年06月15日

印鑑に使われる漢字の書体その2

印相体kと吉相体L

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印相体は日本独自な山梨県生まれの書体です。

山梨にはどうして、はんこ職人が多いのでしょう。

昔、山梨には足袋職人さんがたくさんいました。ところが、日本人が足袋を使わなくなっていき、そこで、その職人達をはんこ職人に変わっていったようです。

山梨は、以前はんこに使われた水晶がとれたことも一因のようです。

そして、山梨県六郷町で印相体が生まれました。

篆書体をベースに枠と文字が八方位に付くようにアレンジして彫るものです。

八方篆書体とも呼びます。

その山梨の人達が全国に訪問販売をして、枠と文字がくっついていると、縁起が良いを広めました。


商売の町、大阪では縁起担ぎのこの書体が好まれて、東京では訪問販売によって、場を荒らされて、篆書が正しいもので、印相体は邪道だとされたようです。

もう潰れてしまった渋谷109にあった馬場印房さんの初代が全国の印章組合だった時に、印相体反対論が多い中、静観の姿勢を打ち出したそうです。 

その後も枠についていると縁起が良いは、簡単に広まり、印相体に真似て、吉相体というのを始めてしまったようです。八方位を意識せず、ただ枠と文字を付けておけばいいんだろうが吉相体のイメージです。

正直、吉相体Kの方がデザイン的に簡単です。

八方位に枠を文字をくっつけて、バランスをとるにはデザイン的アイデアが必要な時もあり、それによって独特のものになる気がします。

当店では、最初は印相体は山梨に頼みましたが、それを見た初代のおじいちゃんが、印相体は篆書体より彫る面積が少ないから簡単と自分で彫るようになったようです。

二代目の父は、占い師さんと組んで、印相体3本セットをよく彫っていました。

三代目は、印相体はスキャナーによる機械彫りの偽造防止にもなると気付きました。

そして、印相体でもアレンジの仕方で雰囲気が変わることにも気付きました。

印相体は、字林がないことでオリジナリティも高まり、枠と文字を接することで縁起も担げて、偽造の心配もいらない、当店のお客様にぴったりの書体と彫り続けています。

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2021年06月14日

印鑑に使用される書体の歴史その1

印鑑に使用される書体は色々あり、久しぶりに
行書と古印体を混ぜた行古印体でお彫りした時に
古印体は難しいなと、あらためて思いました。

はんこに使われている書体について、知らない人も多いと思います。
はんこ屋が思い込んでいる印鑑の書体の歴史について書いてみます。
読みかじり、聞きかじり、面白く喋りたがりなので、正確ではないと思われます(笑)
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印鑑に使われる書体として、まず小篆(ショウテン)Aがあります。
これは、万里の長城を築いた秦の始皇帝が編纂させた書体です。
漫画キングダムでも秦の始皇帝が主要キャラクターとして登場していて、まだまだ漢字を編纂するところまで、行きませんが、秦の始皇帝像がこの漫画で想像でき、とても良いです。
小篆は今でも、落款印に良く使われる書体です。

この小篆より古いのが、象形文字に近い古文Bと言われるものがあります。

小篆から印篆Cに発展しますが、これは石などに彫りやすくするために、直線的になり、更には篆書の増減法などといい、横棒を彫りやすいように増やしたり、減らしたりするのがありになったようです。

小篆を簡略化するのに隷書(レイショ)Dが生まれました。払いに特徴があります。

隷書を早く書くために、草書E、行書Fが生まれたようです。

楷書の誕生はそれより後だそうです。

既成の認印などに使われているのが、古印体(コインタイ)です。
本当の古印体とは思えませんが、一応古印体です(苦笑)
古印体GHは日本独自の書体で、奈良時代に隷書で石に彫ったものが、雨風により、丸くなったり、欠けたものが発生の基本だと思います。

ですので、行古印体Jや篆古印体Iなど、古印体と混ぜた書体があるわけです。
行書体や篆書で石に彫ったものが歳月により、風味が出たことを想像すれば良いのです。

ですので古印体には、正確がなく、難しいなとあらためて思います。

以前、広島から来られたお客様が、手彫り職人のおじいさんに、最後の作品として、古印体で仕事に使う認印を彫ってもらったところ、どうして気に入らず、うちで印相体系で作り直したことがありました。
その最後の作品の古印体は、文字の欠け部分が多く、歳月を経た味ではなく、唐突で失敗感がありました。
このお客様の感じたものは正しいなと思いました。
一緒の来られた方に、なんでわざわざ東京ではんこを作るか?と聞かれ、ここが有名だからとか答えてました。出来上がりを送ると、お礼の葉書が来たことを覚えています。

印相体に続く。
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2021年06月11日

「美」しいという字は羊の全身像から

お名前に「美」という字が入っていますと、
ざっと書きながらE
「美」しいという字は羊の全身像からきているそうでと、ちょっと得意げに話します(笑)
結構前から言っているのですが、
本当だったでしょうか?
話を面白くするためにアレンジを罪なく加えていることがあります。
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字源を調べると象形文字のAが載っていました。
上が顔で、下が足で羊の全身像です。
なぜうつくしい意味になったかも書かれていました。
羊は神に捧げるもので、だから完全に美しいものであるというところから、他の美しいものにも使われていったようです。

羊の全身像なので、角のようにアクセントでクルッとしてとも言います。
篆書字林を見ると羊の象形文字にBのようにクルッとしたものがありました。
Cは小篆、Dは印篆
Eはオリジナル印相体です。
実印としても銀行印としても、この形で通用しています。
美しい人、お店に来ないかな(笑)

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2021年06月02日

「子」についてあらためて考える

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「子」の入ったお名前のはんこのご注文の時には、子はもともとは子供の形からきています。とざっとEを書くと納得して頂けます。

本当にそうだったのか、
自分で話を作っていないか(笑)と、
あらためて字源を調べてみました。

やはり子は子供の形からきていてA、生まれたての毛の生えた赤ちゃんの顔Cというのもあったようです。
Bは秦始皇帝が編纂した小篆
Dは象形文字で多分頭の上は髪の毛でしょう。

Fの篆書をアレンジして、Eの印相体になります。
Gの篆書をアレンジしてH、Iの印相体になります。右側の字によっては、この形も面白いと思います。

その字源を見ると子はもともと男の子を表していたようで、王子を表す字もあったとのことです。

あれ、どうして、子の付く名前は女の子になっているのでしょう?
仕方なく、軽くネットを調べてみました。

日本でも、もともとは男性に付け、聖徳太子さんがその代表のようです。
明治に入り、高貴な女性にも付けるようになり、それが一般的になったようです。
今は逆にありふれ感が出てしまうので、子を付ける人は少ないそうです。

大正生まれのはんこ屋の祖母はキヨという名前でしたが、きよ子を通常使っていました。
野心的だった祖母は、高貴さを出したいと思ったのでしょうか(笑)

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2021年05月28日

実印に象牙がイイ理由を見つけました

象牙は、もう輸入する必要はないと思っています。
ただ、政府公認で輸入された象牙印材(質の良いもの)が、コロナ前の予想のはんこの需要で20年分はあると言われていました。
はんこ屋が現役のうちに無くなることはないようです。

象牙が輸出入禁止となってから
一度きりの特別な輸入は、アフリカ諸国が象を保護するためには、お金が必要で、それで象の墓場のようなところから、象牙を持ってきて、オークションで輸出したそうです。
船便でしたので、出発前の象牙の形状と到着時の形状が揺れなどの破損で変わってしまっていたら、戻したそうです。

決して象牙推進派ではありませんが、象牙には持った質感、捺印性の高さ(押しやすさ)、使っていくうちに朱肉の朱が入っていくのを運を吸い上げると言うのど、他の印材には無い独特な良さがあります。

良い象牙は彫る時には、硬いけれどスパッと切れる感じがあり、細工に向いているなと思います。
硬いので、少し力を入れて彫ると刃が滑ることがありますが、象牙は硬いので、枠を欠かせるなどの失敗になりません。

ここまでが象牙について知っていたことです。

最近、GYAOで韓流ドラマを見ていると、
記憶障害のある人に、象モチーフのものをプレゼントし、それと一緒のカードに「象は見たものを忘れないというので、御守りに」とありました。

えっ、象って記憶力がいいのでしょうか?
仕方なく、ネットで軽く調べてみると、確かに象の記憶力は良く、30頭くらいの群れで行動していて、全ての象を把握しているそうです。
また、サーカスなので、少しの間しかお世話をしなかった人間を時間が経過した後も覚えているそうです。
体の大きさに対する脳の大きさが、チンパンジーと同じくらい大きいそうです。
このことを知った上でダンボを観たかったです。

そうです。
象牙は忘れない御守り、人生において、大事な時にしか押さない実印。そのシーンを決して忘れないように象牙で実印を。

象牙取扱がより厳しくなり登録番号になりました。
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2017年03月02日

うずまきで世界を制す

草間彌生さんが水玉で世界を制したように、はんこ屋は うずまきで世界を制すと言い出したのは、何年前からのことでしたでしょうか。

篆書の屈曲法のアレンジとして、文字を折り曲げて空間を埋めるのではなく、うずまきで空間を埋める方法を思い付きました。

最初は、丸を意識した えん印相体で。

@うずまきは、集める縁起物です。
A更にうずまきを二つくっつけると唐草風になり、唐草は続く縁起物です。

Bうずまきの先を丸くして、そのうずまきから小さいうずまきを出すと波模様になり、波も続く縁起物です。

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うずまきって素敵でしょ(笑)
海外でもうずまき模様があり、
もう、うずまきで世界を制してしまうかもと妄想が始まりました。

今では、しぶちか印相体でも空間があると、くるっとします。
外国人のカタカナのはんこは、空間があるので、くるっとします。
今年になって来店頂いたお客様には、くるっとしているのがカワイイので、私もそのようなはんこが欲しく来ましたと言って頂いた方が二人以上います。
更には、書類の中にうちで作ったと思われる印影を見て、いったいどこでこんな感じはんこを作ってくれるのだろう?と頭の中にある印影だけをもとにネット検索でたどり着いた方がいました。
まずは手彫りから検索を始めてかなり、大変だったようです。

うずまきの印影から、うちではんこを作りたいと思う人達が、現れて来ました。
これって、うずまきで世界を制す始まりでしょうか(笑)

すっかり自分がうずまき好きなので、お財布も唐草のがま口タイプを使っています。E132D9BD-38BE-4839-A46C-A478A05996AE.jpg
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2016年10月14日

当店のはんこの使い方

やっとイイはんこ屋さんを見付けたからと言って、既に4組くらいお客様を紹介して下さっている方がいます。
3人目の人で、その方のいる店舗名が分かり、
4組目でその方の名前が分かりました。

紹介して下さるのに、うちで自分用のはんこを作っていない可能性が高いです。
お店の前を通ったことがあるようです。
なのにね(笑)

当店での2本目のはんこを注文に来られたキレイな女性に、この話をすると、興味を持ち、ネットで検索して予約をして、その方に会いに行ってみたそうです。

来店きっかけが、しぶちかはんこ屋さんとの話で出てと伝えたそうです。
すると、そこで、うちのはんこの使い方を教わったとおしえてくれました。

願い事を紙に書いて横にうちで作ったはんこを押すといいそうです。

あれ、最近願い事を書いたぞ。
新しい招き猫ダルマに「千客万来」と自分で篆書体で書き、ダルマの中に入れました。
職人が書いた字なので、高いぜ(笑)と自己満足していました。
それに、はんこを押せば、より良かったようです。

次の機会には、押したいと思います。
でも、忘れっぽいのですが(笑)

うちではんこを作って下さった皆さん、願いがあれば、是非試してみて下さい。
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2016年06月21日

未完の完成

篆書系のひらがなをデザインしてみようと、50音書き始め、とりあえず書き終えました。
濁点の位置が難しく、あえて、枠の外にしました。
はんこにする場合は、周りとのバランスを見て、濁点の位置を決めていきます。

本来は、鉛筆書きの後、水性ペンで仕上げようと思っていたのですが、書くたびに、修正ポイントが出てきますので、
あえて鉛筆書きで終えます。

これを見て、はんこ職人さん達が、手彫りで、ひらがなのはんこを作る時に、参考にしてくれると嬉しいです。
「荒見かな」
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2016年06月01日

荒見かな2

オリジナルなハンコ用のひらがなの書体を作ってみようと始めた、ひらごな50音書き、大分進みました。
ルールは3つ、篆書系で文字の太さを均一にする。
正方形を意識して、四角をなるべく埋めるようにする。
ひらがなとして、読めるようにする。

この3つを意識しながら、書いていると、ひらがなって、意外と似た形があることに気付きました。
例えば「け」「は」「ほ」
「し」「つ」
似た形の部分は、同じようにした方が書体としての統一感がでますね。

書き進めていくうちに、前に書いたものを少し直したくなります。
鉛筆書きなのでできますが、水性ペンで書いたら、直せなくなります。
自分としては、形として分かれば良いので、鉛筆書きで十分。
参考にしようとした職人さんも同じはず。
もう、鉛筆書き止まりにしよう。
書体作りの時間短縮のためでもあります(笑)
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2016年05月21日

荒見かな?

篆刻作家さんが作った角印の中にあった伝統的なアレンジでデザイン化された ひらがなを見て、はんこ用のひらがなの書体を作ってみようと思いました。

朝6時に起きて、朝食前に自宅で印稿書きをしているのですが、印稿書きが早く済んだ時に、少しずつ、篆書系のひらがな50音を書き始めました。
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まずは鉛筆書きです。
作業的には、思いのほか楽しいのですが、ご注文頂いている仕事優先ですので、一気に書く訳にはいきません(笑)
いつ完成するのやら。
でも、
ホントところ、完成はなく、
どこをどのようにどのくらい曲げるかは、他の字とのバランスで決めるべきことですから、完成形ではなく、基本ベースとしての ひらがなの形となります。

書体なので、名前を付けなければと考えました。
あの角印を彫った方の名前が分かっていれば、敬意を表してお名前の一部を使わせてもらって付けられるのですが、名前も分かりません。
今回、自分なりに、読めるようにアレンジしてと書き始めたので、角印を彫った方のアレンジとは違います。

自分の姓をとって、荒見かなでいいな。
荒見かな?と疑問符付きが、1番イメージです(笑)

ひらがなの次は、このアレンジの仕方で、カタカナ、アラミカタを書いてみようかな。
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2016年05月19日

はんこ用のひらがなの書体を作ってみよう

ちょっと前のこと、
角印を見せられ、このように彫れますか?と聞かれました。
ちらっと印影を見て、文字を太めにした篆書系の書体でデザイン的に彫ってあります。ひらがなの会社名のアレンジが独特ですが、この感じで、他のひらがなと言われてもできるなと高速で判断し(笑)、できますとだけ答えました。

正直、頼まれないと思っていたのですが、ご注文に来られ、長年使って傷んできているので、同じ感じで作り直したいということでした。

あらためて、そのひらがなを研究すると
漢字に用いる、文字の先を曲げたり折り畳んだりする手法をひらがなにも適用しているだけなことが、分かりました。
「つ」が、こんな風になっていました。
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そうかと、目からウロコです。

これは篆刻作家さんが彫ったものですねと確認したところ、その会社の社長さんの知り合いの多分篆刻作家さんに彫ってもらったとのことでした。

こんな風に文字をアレンジできるのに、会社名の一文字目だけ小さく見えるのが、前の角印のダメなことなので、そこは直してお彫りしました。

ひらがなを折り畳んだりして、ある程度空間埋める篆書系のひらがな書体を50音書いておけば、それを印相体にするのが簡単になるかも。

そうだ、はんこ用のひらがな書体作りを始めてみましょう。
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2011年12月01日

3.屈伸法

屈伸法の言葉から、文字を構成する線を折り畳んだり、
伸ばしたりして、他の文字とのバランスを整え、空間を埋めたりすることと想像できます。
印相体では、ごく普通のことです。

一つトレースしてみましょう。
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「荘功子印」

子の形が面白く、今日から印相体で使えます。
解説を読むと点画を折り畳むことで、増画の効果をあげ、
また文字を引き伸ばして、印面のバランスを保つもの。

伸ばすというのは、たとえば、3文字を右に2文字、左に1文字彫る場合、
左の1文字を縦に伸ばすことを言うそうです。

あまりに普通なことなので、印相体ではざっとも書きません。

このブログで紹介した土地家屋調査士さんの職印の規定が書かれた紙にあった例、
文字数が少ない時に伸ばすことを知らないものでした。
はんこ職人の皆さん、
機械フォントのハンコについておかしいことは、おかしいと言っていきましょう。
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2011年11月07日

2.増減法

篆書の増減法については、確かこのブログでふれたことがあります。
篆書を石に彫ることによって、生まれた
印篆では、石に彫る時のバランス、彫りやすさから、
1,2本増やしたり、減らしたりするのが、ありというものです。

実際のところ、現在、実印銀行印でそれをしてしまいますと、
間違った字に思われてしまうことも、考えられますので、あまりしません。

1本減らすことで、バランスが明らかに良くなり、
違和感なく読める場合は、くっつけて減らすことがあります。
印相体の場合は、増やすには、伸ばして曲げるが基本です。
さて、見本を一つトレースしてみましょう。
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「下官買字自給」
『字、自』を金文、大篆形を生かして、画数を多くしています。
朱文なので、上手にトレースできてしまいました。

さて、増減法は文字同士の画数を近くするために
@異体字を選択する。
A文字の画数を増やすしたり、減らしたりするだけでなく、
 伸ばして曲げる(屈伸法)もその一つとあります。

色々な方法で、文字同士の画数のバランスをとるのが増減法といえるようです。
増やすことより、減らすことに興味があります。

見本に載っていた省略された、字義にかなった処理のされた字を書いてみましょう。
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まったく読めません。
まだまだ、修業が足りません。
皆さんは、読めましたか?
左から『壽 齋 審 藝』です。

「橋一」さんを篆書と印相体で書いてみましょう。
なぜバランスの難しい名前を例にするかというと、難しいものほど、職人の実力が現れるからです。

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左:篆書では「一」を字林に載っていた一番画数のある文字を選択してみました。
右:印相体では、だいたんにレイアウトも変えて書いてみました。
これは、難しいです。
Gなので出しおしみせずに書いてみました(笑)



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2011年10月25日

1.均布法

均布法、言葉から想像すると、均等にすることかなと思います。
例に載っていた篆刻作品をまず、トレースしてみましょう。
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(本物はもっと上手です)

解説を読んでみると、画数の多少を考えて、筆画の間隔を平均に分布させる章法の基本とあります。
横棒は水平、縦棒は垂直、直角、斜めのラインは45度くらい。
この解説の最後にあまり、方形にし過ぎると機械的に見え、味わいが無くなりますので、
注意しましょうというようなことが書いてありました。親切な解説です。

さて、どんな字ならば、均布法が分かり易いでしょうか。
「里見」さんなんてどうでしょう。
まずは、篆書で書いてみましょう。
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ポイントは、「見」の「目」の下の部分、
ここまでは、ほとんどの場合、均等にした方が美しいです。

直線的な印相体、当店では構(かまえ)印相体と読んでいます。
枠の八方位に文字を付けるため、あるいは空間を埋めるためには、
斜めのラインが必要な場合が多いです。
その時に45度には、しませんが、
斜めのラインの角度を揃えた方が美しくなることは、経験則として、気付いていました。
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均布法、基本だけに、プロのはんこ職人さんならば、気付いていたことかも知れません。
篆書が得意な職人さんなら、篆書でも、手仕事ならば、
色々なバリエーションを付けれることを説明し
同じ名前で彫った見本を用意するといいと思います。
そしてご注文時にその場でざっと書いてあげましょう。
印相体の得意な人は、もちろんですよ。

均布法は、基本ですが、
実際に彫る時には均布法部分と、あえてバランスが違う部分があった方が
個人的には好きです。
posted by 一日3本 at 08:27| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこ屋職人養成講座G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月17日

はんこ屋職人養成講座G

全国のはんこ職人の皆さん、
今、日本の印章制度が危機的状況なことは、なんとなくお感じでしょう。
震災後、アナログなものを見直す傾向があり、なんとか寿命が伸びた感はあります。
しかし、一番の問題点は、
安売り店で注文しても、専門店で注文しても、
はんこの出来上がりが、一般的な人にとって、あまり変わらないことにあります。
将来この時代のはんこ職人が手を抜いたから、日本の印章制度が無くなったと言われかねません。

お客さんが持っているはんこは、卒業記念の機械彫りのはんこだったり、
ネットで頼んだ素人が作ったようなハンコだったり、
専門店で頼んだものの、良くて機械の字を少しいじってあるだけ、
手書きの字を使っていても、バランスが悪かったり、仕上げが甘かったりします。
東京のデパートで作ったはんこは、値段が高くて、チェーン店並の機械彫り、
費用対効果が一番悪いです。
合格点の与えられるはんこに、なかなか出合えません。

稀に、これはイイはんこですねと言うのは、30年以上前に作ったはんこの事が多いです。

全国のはんこ職人の皆さん、一般の人が見ても、これは機械の字、パソコンのフォントではないと
感じられるはんこを作っていきましょう。

制作方法より、どのような印影のはんこを作るかが重要です。
印稿のデザインの仕方を一緒に学んでいきましょう。

とはいっても、注文が無ければ、どうにもならないよとお思いかも知れません。
まずは、お客様を増やす努力をすべきです。
<はんこ屋職人養成講座G>スタートとしてエピーソード0
お客様を増やす努力編です。

1.営業時間、営業日を見直す。
  当店にご注文に来店されるお客様から、
  地元に、はんこ屋さんがあるのは、知っている。
  でも朝、通勤で通る時は閉まっていて、夜、帰って来た時も閉まっている。
  休みの日曜日に行っても閉まっている。
  頼みようがありません。
  こんな声を聞きます。
  当店でも、1週間で土曜日の売上が一番良い週が、1ヶ月のうち1回以上はあります。
  思い切って、早い時間から営業する、夜遅くまで営業する、日曜日を営業する。
  これを継続することによって、必ず効果が現れます。
  まずは注文がなくても、通る人たちは、見ているのです。

  営業時間の参考に是非、比較的新しく開業された歯医者さんの診療時間を調べてみてください。
  地元の人たちにとって、どのような時間なら来られるのか、大変参考になると思います。

2.安売り店にはんこを注文する
  ばからしいと思うかも知れませんが、数千円で、絶大の効果があります。
  自分の一番得意な書体で、できれば15ミリ丸以上のフルネームの個人の実印を
  安売り店に頼んでみましょう。
  それと同じ書体、同じサイズで、自分でも見本として彫りましょう。
  出来上がった2本を比較することで、お客様に、機械彫り店との違いが簡単に説明できます。

3.お店に入らなくても、価格がわかるようにする
  お客様にとって、はんこ屋さんに入るのは、コワイこと。
  個人の実印など代表的なものの、金額を大きめに、店頭に表示しましょう。
  価格の載ったちらしなどあるとより良いです。

4.ホームページで自店の印影、自店の特徴を載せよう
  お客様から、そこで作るとどんなハンコになるか調べても
  ほとんど分るホームページがあるはんこ屋がなかったと、あきれて言われたことがあります。
  本格的ホームページがない場合は
  2.でオススメした機械彫り店との印影比較だけでも
  ホームページに載せるすることをオススメします。

それほど、お金のかかることでは、ありませんので、是非試してみて下さい。
うまく、行かなかったら、それでおしまいではなく、
自分で思考した次のアイデアを実施しましょう。

いよいよ、次回のはんこ屋職人養成講座Gから
篆刻の基本二十八法を学びながら、それを印相体や篆書体の実印、銀行印に生かしていくことを
学んでいきます。

故きを温ねて新しきを知れば、以て師為るべし


   
posted by 一日3本 at 09:52| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこ屋職人養成講座G | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする