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印鑑に使われる漢字の書体まとめ
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印鑑に使われる漢字の書体その2
印相体kと吉相体L
印相体は日本独自な山梨県生まれの書体です。
山梨にはどうして、はんこ職人が多いのでしょう。
昔、山梨には足袋職人さんがたくさんいました。ところが、日本人が足袋を使わなくなっていき、そこで、その職人達をはんこ職人に変わっていったようです。
山梨は、以前はんこに使われた水晶がとれたことも一因のようです。
そして、山梨県六郷町で印相体が生まれました。
篆書体をベースに枠と文字が八方位に付くようにアレンジして彫るものです。
八方篆書体とも呼びます。
その山梨の人達が全国に訪問販売をして、枠と文字がくっついていると、縁起が良いを広めました。
商売の町、大阪では縁起担ぎのこの書体が好まれて、東京では訪問販売によって、場を荒らされて、篆書が正しいもので、印相体は邪道だとされたようです。
もう潰れてしまった渋谷109にあった馬場印房さんの初代が全国の印章組合だった時に、印相体反対論が多い中、静観の姿勢を打ち出したそうです。
その後も枠についていると縁起が良いは、簡単に広まり、印相体に真似て、吉相体というのを始めてしまったようです。八方位を意識せず、ただ枠と文字を付けておけばいいんだろうが吉相体のイメージです。
正直、吉相体Kの方がデザイン的に簡単です。
八方位に枠を文字をくっつけて、バランスをとるにはデザイン的アイデアが必要な時もあり、それによって独特のものになる気がします。
当店では、最初は印相体は山梨に頼みましたが、それを見た初代のおじいちゃんが、印相体は篆書体より彫る面積が少ないから簡単と自分で彫るようになったようです。
二代目の父は、占い師さんと組んで、印相体3本セットをよく彫っていました。
三代目は、印相体はスキャナーによる機械彫りの偽造防止にもなると気付きました。
そして、印相体でもアレンジの仕方で雰囲気が変わることにも気付きました。
印相体は、字林がないことでオリジナリティも高まり、枠と文字を接することで縁起も担げて、偽造の心配もいらない、当店のお客様にぴったりの書体と彫り続けています。
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2011年12月01日
3.屈伸法
伸ばしたりして、他の文字とのバランスを整え、空間を埋めたりすることと想像できます。
印相体では、ごく普通のことです。
一つトレースしてみましょう。
「荘功子印」
子の形が面白く、今日から印相体で使えます。
解説を読むと点画を折り畳むことで、増画の効果をあげ、
また文字を引き伸ばして、印面のバランスを保つもの。
伸ばすというのは、たとえば、3文字を右に2文字、左に1文字彫る場合、
左の1文字を縦に伸ばすことを言うそうです。
あまりに普通なことなので、印相体ではざっとも書きません。
このブログで紹介した土地家屋調査士さんの職印の規定が書かれた紙にあった例、
文字数が少ない時に伸ばすことを知らないものでした。
はんこ職人の皆さん、
機械フォントのハンコについておかしいことは、おかしいと言っていきましょう。
2011年11月07日
2.増減法
篆書を石に彫ることによって、生まれた
印篆では、石に彫る時のバランス、彫りやすさから、
1,2本増やしたり、減らしたりするのが、ありというものです。
実際のところ、現在、実印銀行印でそれをしてしまいますと、
間違った字に思われてしまうことも、考えられますので、あまりしません。
1本減らすことで、バランスが明らかに良くなり、
違和感なく読める場合は、くっつけて減らすことがあります。
印相体の場合は、増やすには、伸ばして曲げるが基本です。
さて、見本を一つトレースしてみましょう。
「下官買字自給」
『字、自』を金文、大篆形を生かして、画数を多くしています。
朱文なので、上手にトレースできてしまいました。
さて、増減法は文字同士の画数を近くするために
@異体字を選択する。
A文字の画数を増やすしたり、減らしたりするだけでなく、
伸ばして曲げる(屈伸法)もその一つとあります。
色々な方法で、文字同士の画数のバランスをとるのが増減法といえるようです。
増やすことより、減らすことに興味があります。
見本に載っていた省略された、字義にかなった処理のされた字を書いてみましょう。
まったく読めません。
まだまだ、修業が足りません。
皆さんは、読めましたか?
左から『壽 齋 審 藝』です。
「橋一」さんを篆書と印相体で書いてみましょう。
なぜバランスの難しい名前を例にするかというと、難しいものほど、職人の実力が現れるからです。
左:篆書では「一」を字林に載っていた一番画数のある文字を選択してみました。
右:印相体では、だいたんにレイアウトも変えて書いてみました。
これは、難しいです。
Gなので出しおしみせずに書いてみました(笑)
2011年10月25日
1.均布法
例に載っていた篆刻作品をまず、トレースしてみましょう。

(本物はもっと上手です)
解説を読んでみると、画数の多少を考えて、筆画の間隔を平均に分布させる章法の基本とあります。
横棒は水平、縦棒は垂直、直角、斜めのラインは45度くらい。
この解説の最後にあまり、方形にし過ぎると機械的に見え、味わいが無くなりますので、
注意しましょうというようなことが書いてありました。親切な解説です。
さて、どんな字ならば、均布法が分かり易いでしょうか。
「里見」さんなんてどうでしょう。
まずは、篆書で書いてみましょう。
ポイントは、「見」の「目」の下の部分、
ここまでは、ほとんどの場合、均等にした方が美しいです。
直線的な印相体、当店では構(かまえ)印相体と読んでいます。
枠の八方位に文字を付けるため、あるいは空間を埋めるためには、
斜めのラインが必要な場合が多いです。
その時に45度には、しませんが、
斜めのラインの角度を揃えた方が美しくなることは、経験則として、気付いていました。

均布法、基本だけに、プロのはんこ職人さんならば、気付いていたことかも知れません。
篆書が得意な職人さんなら、篆書でも、手仕事ならば、
色々なバリエーションを付けれることを説明し
同じ名前で彫った見本を用意するといいと思います。
そしてご注文時にその場でざっと書いてあげましょう。
印相体の得意な人は、もちろんですよ。
均布法は、基本ですが、
実際に彫る時には均布法部分と、あえてバランスが違う部分があった方が
個人的には好きです。
2011年10月17日
はんこ屋職人養成講座G
今、日本の印章制度が危機的状況なことは、なんとなくお感じでしょう。
震災後、アナログなものを見直す傾向があり、なんとか寿命が伸びた感はあります。
しかし、一番の問題点は、
安売り店で注文しても、専門店で注文しても、
はんこの出来上がりが、一般的な人にとって、あまり変わらないことにあります。
将来この時代のはんこ職人が手を抜いたから、日本の印章制度が無くなったと言われかねません。
お客さんが持っているはんこは、卒業記念の機械彫りのはんこだったり、
ネットで頼んだ素人が作ったようなハンコだったり、
専門店で頼んだものの、良くて機械の字を少しいじってあるだけ、
手書きの字を使っていても、バランスが悪かったり、仕上げが甘かったりします。
東京のデパートで作ったはんこは、値段が高くて、チェーン店並の機械彫り、
費用対効果が一番悪いです。
合格点の与えられるはんこに、なかなか出合えません。
稀に、これはイイはんこですねと言うのは、30年以上前に作ったはんこの事が多いです。
全国のはんこ職人の皆さん、一般の人が見ても、これは機械の字、パソコンのフォントではないと
感じられるはんこを作っていきましょう。
制作方法より、どのような印影のはんこを作るかが重要です。
印稿のデザインの仕方を一緒に学んでいきましょう。
とはいっても、注文が無ければ、どうにもならないよとお思いかも知れません。
まずは、お客様を増やす努力をすべきです。
<はんこ屋職人養成講座G>スタートとしてエピーソード0
お客様を増やす努力編です。
1.営業時間、営業日を見直す。
当店にご注文に来店されるお客様から、
地元に、はんこ屋さんがあるのは、知っている。
でも朝、通勤で通る時は閉まっていて、夜、帰って来た時も閉まっている。
休みの日曜日に行っても閉まっている。
頼みようがありません。
こんな声を聞きます。
当店でも、1週間で土曜日の売上が一番良い週が、1ヶ月のうち1回以上はあります。
思い切って、早い時間から営業する、夜遅くまで営業する、日曜日を営業する。
これを継続することによって、必ず効果が現れます。
まずは注文がなくても、通る人たちは、見ているのです。
営業時間の参考に是非、比較的新しく開業された歯医者さんの診療時間を調べてみてください。
地元の人たちにとって、どのような時間なら来られるのか、大変参考になると思います。
2.安売り店にはんこを注文する
ばからしいと思うかも知れませんが、数千円で、絶大の効果があります。
自分の一番得意な書体で、できれば15ミリ丸以上のフルネームの個人の実印を
安売り店に頼んでみましょう。
それと同じ書体、同じサイズで、自分でも見本として彫りましょう。
出来上がった2本を比較することで、お客様に、機械彫り店との違いが簡単に説明できます。
3.お店に入らなくても、価格がわかるようにする
お客様にとって、はんこ屋さんに入るのは、コワイこと。
個人の実印など代表的なものの、金額を大きめに、店頭に表示しましょう。
価格の載ったちらしなどあるとより良いです。
4.ホームページで自店の印影、自店の特徴を載せよう
お客様から、そこで作るとどんなハンコになるか調べても
ほとんど分るホームページがあるはんこ屋がなかったと、あきれて言われたことがあります。
本格的ホームページがない場合は
2.でオススメした機械彫り店との印影比較だけでも
ホームページに載せるすることをオススメします。
それほど、お金のかかることでは、ありませんので、是非試してみて下さい。
うまく、行かなかったら、それでおしまいではなく、
自分で思考した次のアイデアを実施しましょう。
いよいよ、次回のはんこ屋職人養成講座Gから
篆刻の基本二十八法を学びながら、それを印相体や篆書体の実印、銀行印に生かしていくことを
学んでいきます。
故きを温ねて新しきを知れば、以て師為るべし