2005年11月01日

ハンコ屋さんの裏メニュー??

ハンコ屋さんの裏メニューというタイトルで既に3つブログを書きました。
が、ふと、このタイトルでは偽造の事が書いてあると
思って読んでくれたのではと。

お店には、1ヵ月に4人以上の方が無くしたはんこを捜しに来ます。
「例え機械彫りの既製品であっても、
その時作るロット(何万だか何十万本だか)は同じでも、
次に作る時は必ず太さや文字の形など設定を変えて作っているそうです。
なので、いざなくしたものを捜そうとしても、まず見付かりませんよ。
逆にだから既製品でも銀行印になるのです。
はんこをなくした時の手続きを進めた方がいいですよ」
と説明してもたいてい納得してくれません(笑)

また印影からはんこを彫って欲しいと言われる事もあります。
「例え御本人のものであっても、
 同じ印鑑を作ってしまうと彫ったはんこ屋さんも
 偽造ということで罰せられます。」
昨年、知能犯課の美人デカさんがお店に来た時に上の説明で正しいか
と尋ねたところ
「まったくもって正しいです。」とタイコバンを押してくれました。

当店では、初代の祖父がお客さんがはんこをなくしてしまったというので
好意で印影から印鑑を彫ってあげたところ、実は犯罪に使われたそうで、
祖父も留置場に1週間泊められたことがあったそうです。
それ以来当店では決して同じに彫りません。

では技術的にはどうかというと。
機械彫りの印鑑は、同じ機械なら簡単にコピーでき、
違う機械でもスキャナーで印影を読み込み機械の操作に長けている人なら、
素人でもコピー出来てしまう。
何年か前、実際この方法で、印鑑を偽造し、預金の不正引き出しが横行。
預金通帳から印影が消えました。
印鑑の彫刻機のメーカーは、身元がはっきりしない所には
販売しないという自主規制ができたような記憶があります。

では、手彫りの印鑑はどうでしょう?
機械だけでコピーする事はできません。
特に枠と文字が接している所は機械では上手く彫れません。
しかし完全手彫りで、まねて彫ることはできます。
ガンピという紙に印影をトレースし、印材に転写して、
彫ればかなり近いものが出来上がるでしょう。
既に何年も使った印鑑と新しい印鑑では感じが違います。
これを似せる技術は、興味がないのでわかりません。

昔は、ハンコ屋さんは半年に1回くらいの割合で警察に
研修会に呼び出され、同じ印鑑を彫らないように指導されたそうです。
どんなに似たハンコでも必ず1箇所以上違うところを作るのが
はんこ屋さんの良心です。

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2005年10月28日

はんこ屋さんの裏メニュー3

通常お見せする書体見本(メニュー)にない書体、
上昇印相体、行印相体を彫れるようになった頃のお話。

30代男性お客さまに実印の説明をして、
「どの書体でも印鑑登録できますが、
偽造防止や縁起の面からも印相体がオススメです。」
と言っても反応が悪い。上昇印相体、行印相体を見せてもダメ。
好みを聞くと角張った感じが好きだという。
そこで、二代目の父が通常丸みのある印相体を
角ばらせて彫っていた事を思い出し、
ススメてみるとその感じが良いという。
四角い篆書体で伸ばしていく感じに彫ると、気にいって頂けました。
その後も印相体はちょっとという男性のお客様にススメてみると、
この書体でというお客様が多い。
ホームページを作る際に、
門構えの「構」をとって「構印相体(かまえいんそうたい)」と
名づけ公開しました。
このようにお客様に鍛えられ、新しい書体が生まれて行きます。
これがはんこ屋さんの裏メニューです。

日展の篆刻の審査員をされていた方に昔、彫ってもらったという
個人の実印を見せて頂き思いついた、
裏の書体(仮称)三角篆書というのもあるのですが、
公開予定はありません。

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2005年10月26日

はんこ屋さんの裏メニュー2

店舗の書体見本(メニュー)にはない書体で彫れます。
きっかけは、2年くらい前、女性のお客様で
「象牙の彫り直しは(すでに彫ってある印面を平らにし、新しく彫る)
していいものか?」と質問を受けました。
事情をお聞きすると、ご主人が亡くなり、ご主人の印鑑を息子さんが
彫り直して、形見として、自分の印鑑にしたいとの事でした。
縁起が良いものかどうかを気にされていました。
「印相学では、印鑑を分身と考えますので、
亡くなった方の印鑑も寿命と考えます。
彫り直しが縁起が良いか、悪いかと問われれば、縁起は良くないです。
ただ、ワシントン条約で象牙が輸入禁止になってから、2年に1度くらい
政府公認で入ってくる象牙は、
長い間象の墓場で雨ざらしになっていたような
質の悪いものがほとんどです。
彫りなおす価値がある象牙か見ますよ。」
その方が、とりあえず自分の実印が必要とのことで、
オランダ水牛で実印を頼んで頂きましたが、
名字は入れずお名前だけで作りたいとのことでした。
お名前が「○○子」○はひらがな。
そこでどうしようかと、話している内に、
行書の文字の形で印相体にすることを思いつき、
世の中にない書体で彫らせて貰いました。

引き取りの際、お持ちいただいた象牙を見たところ、
上のしるし(丹)に24金が使われており、すばらしい象牙。
これは彫り直した方が良いとススメ、
息子さんの実印を彫らせて貰いました。
今まで彫ったなかでも最高の彫り心地で
堅いのにスッパと彫れるものでした。

その後、この行書を基にした印相体を感じの良いお客様に彫ったところ、
どなたにも好評で、まず名前がちゃんと読めることに喜ばれます。
はんこ屋さんの先輩にも、
江戸文字みたいな雰囲気でとても良いと誉められました。

ホームページ開設の時に、
この書体を行印相体(ぎょういんそうたい)と名付けました。

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2005年10月24日

ハンコ屋さんの裏メニュー1

きっかけは、5,6年前、古くからのお得意様のハンコが磨耗して、
サイズを変えて同じ感じに彫って欲しいと注文された事でした。
初代のおじいちゃんが彫ったはんこで、印相体なのにちょっと違う。
よくよく印影を見ると、全て上の方向に向いている。
二代目の父に聞いてみると気に入ったお客さんに、
何もいわずそのように彫っていたとの事。
とりあえず、まねて彫ってみたらなかなか良い。

3年くらい前、見せた書体見本以外の書体で彫れますか、と言われ
この上に向けた印相体を説明。
その日は、注文されなかったものの
数日後に再び来店され、注文して頂いた。
このお客さまは、他店で作った印鑑で偽造され、今度は偽造されないよう
オリジナルの書体で彫ってくれるところを探していたそう。
「他のはんこ屋さん、デパートも周ったけど、
どこもできないと言われたわ」と。
そのお客様に枠についていない、
印鑑は簡単に偽造できることを教わりました。

通常の書体見本にはない、裏メニューというか裏書体があります。
うちのお店の伝統に従い、気に入ったお客さまや
二度目に印相体で注文される方にこの書体で彫っています。
ただ初代とは違いちゃんと説明した上で彫っていますけど。

他にも裏書体ができ、裏メニューが充実してきたので、
思い切ってホームページにはオリジナル書体を公開し、
注文を受けることにしました。
ホームページを作る際に、この書体は「上昇印相体」と名付けました。

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