店舗の書体見本(メニュー)にはない書体で彫れます。
きっかけは、2年くらい前、女性のお客様で
「象牙の彫り直しは(すでに彫ってある印面を平らにし、新しく彫る)
していいものか?」と質問を受けました。
事情をお聞きすると、ご主人が亡くなり、ご主人の印鑑を息子さんが
彫り直して、形見として、自分の印鑑にしたいとの事でした。
縁起が良いものかどうかを気にされていました。
「印相学では、印鑑を分身と考えますので、
亡くなった方の印鑑も寿命と考えます。
彫り直しが縁起が良いか、悪いかと問われれば、縁起は良くないです。
ただ、ワシントン条約で象牙が輸入禁止になってから、2年に1度くらい
政府公認で入ってくる象牙は、
長い間象の墓場で雨ざらしになっていたような
質の悪いものがほとんどです。
彫りなおす価値がある象牙か見ますよ。」
その方が、とりあえず自分の実印が必要とのことで、
オランダ水牛で実印を頼んで頂きましたが、
名字は入れずお名前だけで作りたいとのことでした。
お名前が「○○子」○はひらがな。
そこでどうしようかと、話している内に、
行書の文字の形で印相体にすることを思いつき、
世の中にない書体で彫らせて貰いました。
引き取りの際、お持ちいただいた象牙を見たところ、
上のしるし(丹)に24金が使われており、すばらしい象牙。
これは彫り直した方が良いとススメ、
息子さんの実印を彫らせて貰いました。
今まで彫ったなかでも最高の彫り心地で
堅いのにスッパと彫れるものでした。
その後、この行書を基にした印相体を感じの良いお客様に彫ったところ、
どなたにも好評で、まず名前がちゃんと読めることに喜ばれます。
はんこ屋さんの先輩にも、
江戸文字みたいな雰囲気でとても良いと誉められました。
ホームページ開設の時に、
この書体を行印相体(ぎょういんそうたい)と名付けました。
お店の地図、インターネット通販は東堂印章公式サイトへ
2005年10月26日
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