行書と古印体を混ぜた行古印体でお彫りした時に
古印体は難しいなと、あらためて思いました。
はんこに使われている書体について、知らない人も多いと思います。
はんこ屋が思い込んでいる印鑑の書体の歴史について書いてみます。
読みかじり、聞きかじり、面白く喋りたがりなので、正確ではないと思われます(笑)
印鑑に使われる書体として、まず小篆(ショウテン)Aがあります。
これは、万里の長城を築いた秦の始皇帝が編纂させた書体です。
漫画キングダムでも秦の始皇帝が主要キャラクターとして登場していて、まだまだ漢字を編纂するところまで、行きませんが、秦の始皇帝像がこの漫画で想像でき、とても良いです。
小篆は今でも、落款印に良く使われる書体です。
この小篆より古いのが、象形文字に近い古文Bと言われるものがあります。
小篆から印篆Cに発展しますが、これは石などに彫りやすくするために、直線的になり、更には篆書の増減法などといい、横棒を彫りやすいように増やしたり、減らしたりするのがありになったようです。
小篆を簡略化するのに隷書(レイショ)Dが生まれました。払いに特徴があります。
隷書を早く書くために、草書E、行書Fが生まれたようです。
楷書の誕生はそれより後だそうです。
既成の認印などに使われているのが、古印体(コインタイ)です。
本当の古印体とは思えませんが、一応古印体です(苦笑)
古印体GHは日本独自の書体で、奈良時代に隷書で石に彫ったものが、雨風により、丸くなったり、欠けたものが発生の基本だと思います。
ですので、行古印体Jや篆古印体Iなど、古印体と混ぜた書体があるわけです。
行書体や篆書で石に彫ったものが歳月により、風味が出たことを想像すれば良いのです。
ですので古印体には、正確がなく、難しいなとあらためて思います。
以前、広島から来られたお客様が、手彫り職人のおじいさんに、最後の作品として、古印体で仕事に使う認印を彫ってもらったところ、どうして気に入らず、うちで印相体系で作り直したことがありました。
その最後の作品の古印体は、文字の欠け部分が多く、歳月を経た味ではなく、唐突で失敗感がありました。
このお客様の感じたものは正しいなと思いました。
一緒の来られた方に、なんでわざわざ東京ではんこを作るか?と聞かれ、ここが有名だからとか答えてました。出来上がりを送ると、お礼の葉書が来たことを覚えています。
印相体に続く。