注文ということなので、接客を始めます。
どうやら軽く以前に説明したことがあるようです。
行書希望ということなので、行印相体を勧めてみますが、認印なので、行書がイイということです。
他店で頼んだものが気に入らずに来店されたそうです。
特に「村」の点の向きが気になったそうです。
印章組合から出でいる簡単な字典を見せて
行書か行草か聞いてみましたが、どちらも気に入らないようです。
好みの字を教えて頂ければ、それをベースに作ることができますと言うと、スマホで何かを探しています。
見せられたのが、機械彫り店のサイトにある書体見本の行書、しかも枠無しで苗字が並んでいます。
思いきり、パソコンのフォントです。
ハンコは丸い枠なしがあることで、文字を歪めるアレンジをする必要ができ、機械彫りの行書はたいていおかしなものになるのですが、枠なしの書体見本はズルいです(苦笑)
この字の形が好きなのでねとそれを見ながらざっと書きます。
もう一つの漢字ははんこの見本帳から好みを聞いてザッと書いてみます。
意外とまとまったなと思ったのですが、
彫る前に何か見せてもらえますか?と聞かれ、
彫る前にこれ以上なにもお見せしません。
僕を信じてるくれるかどうかなのでと言うと、
ここをもう少しシャープにとか細かい指摘が始まってしまいました。
ざっと書いたものに対して、細かな点を言われても雰囲気を伝えているだけなのになと思いつつ
この機械の字が好きなら、この機械彫りサイトに
なぜ頼まないのだろうとちらっと思ってしまいます。
接客に30分以上経過したところで、「また考えます」と注文せずに帰ります。
「うちには、もう来ないで下さい」
あれ、口が勝手に動いていました(笑)
注文するというので、ざっと書きながら30分以上接客したのに、その間に本来は接客すべき受取りのお客様やいつもゴム印を頼んで下さる方々が何人も来ていたのに、手彫り印鑑注文の人を優先したのに、もう〜
接客で、おしゃべりしながら、ざっとイメージを書けるのは、手は手で考えてくれているからですとよく言うのですが、とうとう口が勝手に喋り出してしまいました(笑)
何年か振りで相性の合わない方の接客をしてしまいました。昨年の12月下宿からご注文のお客様が多く、バックオーダーがどんどん増えていき、お休みの日曜日も午前中は自宅で印稿書きをして、納期を間に合わせている状況です。
お客様の数が増えると、ご来店頂いてもお客様にならない方も現れます。
そんな中、面倒な(笑)当店にご注文頂いてくださる方々にとてもありがたく思い、より優しく接することができています。
バーバラさんにまた、やってしまったとこの話をすると、今回は自分からは仕出かしていないので、大丈夫よと言われました。
あの人の曇りを晴らす月が他にありますように。