職人は印鑑には格があり、自分の作るはんこの格に合うのがそこの印鑑ケースと考えているようです。
機械彫りのはんこをお持ちの方が、この東京製の印鑑ケースをお求めの際には、職人は売るのがイヤそうな態度をとったり、機械彫りのはんこに、このケースはもったいないとまで言う時さえあります(苦笑)
私はそんなことはありません(笑)
東京の職人さん2人が作っているケースは皮、金具の質が山梨のメーカー品のケースより明らかに良いのですが、二人で作っているので納期がかかります。
先代の時には、象牙のお客様の時だけ、ここのケースを使っていたそうです。
三代目になり、ある時にテレビ取材を受け、そのテレビを印鑑ケースを作っている職人さん達が観て、ここには早く作ってあげないと思って頂いたのか、納期が早くなり、どの印材でもここのケースが使えるようになったそうです。
前置きが長くなりました。
さて、何本も手彫りはんこをご注文の方が「先日頂いたケース、鶴亀の模様が逆転じゃないかな?」
職人「これは東京の職人さん二人が作っているケースなのですが、そこにはこだわりがあり、この位置こそ正しい位置で、山梨のメーカーは逆なんです。
ここのケースはこれでいいです。
左が山梨、右が東京製
先日、その職人さん二人がテレビ取材を受け、金具がパチンと音が出るのが特徴と言っていたらしいです。
納得して帰って頂いたものの、職人はしばらくケースを眺めています。
あっ目がキラキラして来た、これは職人が変なことを思いついた合図です。メンドくさい(笑)
「あのさ、鶴亀の模様、鶴と亀が向かい合っているので、山梨の位置だと鶴が下を向いていて、下に向かってしまう。一方KF印の場合、鶴は上に向かい、亀は地面、海を目指す。これでどうだろう」
どうだろうと言われも(笑)
印材屋さんが来て鶴亀が逆と言われた話をするとKF印深田さんでは、朱肉を入れる側を下と考えています。
シールを見てもらうと分かるのですが。
シールは模様を隠してしまうので、付けないようにお願いしているけど、見本の古いものには貼ってあるな。
確かに内向きにシールが貼ってあるね。
そうか、はんこを押す時、当然印面が下。
印面を収める側を下と考えると鶴亀の位置こうなるんだ。なんほどね」
昔の人は、良くない言葉を口にしたり、耳にしたりした時に「つるかめ、つるかめ」と言って邪気を払ったそうです。
私は、ここにいて、職人のワガママと自由な発言で、一日何度つるかめといったら良いのやら(笑)
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