2016年02月03日

昔の職人さんのできたことは

男性が篆書の八方崩しで、はんこを作りたいと来店されました。
「八方崩し、聞いたことありますがなんでしたか?」
「以前こちらのブログで書かれていて、この記事ですが」
「これは印相体なら色々なアレンジができて、八方崩し風にも書けましたというものですね」
八方崩しで画像検索すると、その書いた画像まで出てきますが、本来の篆書の八方崩しとは違います。
「初めての八方崩しの注文です」
「できますか?」
「昔の職人さんができたことですから、できますよ」
「実は他でできないと断られていて」
一人の天才職人さんだけができたわけではなく、八方崩しでも作風の違いから何人もの人が作れた分かる書体ですので、自分ができないわけありません。

そして えん印相体を八方崩しに変えようとざっと書き始め、そのお客様の予定を変更してもらいながら、1時間以上書き、やっと近くなってきました。
目処が立ちましたので、後は出来上がりを楽しみにと接客終了。
なんだか迷路みたいで分からないけど、よくよく見ると文字になっているというのが、面白いとの注文です。

印稿を書くにあたり、まず昔の篆書の八方崩しの見本を見てざっと書いてみます。
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書いてみてわかったことは、篆書の屈曲法を用いて、線を折り曲げて空間を埋めているだけ。なので、何人もの職人さんができたのだなということです。
しかし、決して簡単ではなく、印稿を書くのも彫るにも時間がかかりました。

受け取りの時、大変気に入って頂き、わざと文字として分かる部分を2か所作ったことにも気が付いて頂きました。
「八方崩しで彫るには、どんな印材でも18ミリ丸以下なら10万円。
1日仕事になるのでと言っていいですよね。」
「いいと思います」

印稿の公開の許可を頂きました。
これが書いた印稿です。
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昔の職人さん、凄いな。
やったことのないことは、できないなどと諦めずに
今の職人さん達もがんばれ。
posted by 一日3本 at 16:13| 無理を聞く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする