2012年04月02日

新しく動き出した時間とともに

昨年、震災の前に、役所にお勤めの方からお仕事用の認印をネットからご注文頂きました。
書体を迷われており、2つざっと書いたものを、送りますので、選んで下さいとなっていました。

震災後、間もなく、地域のことは頭になく、
約束の期限だからと、ざっと書いたものをメール添付で送りました。

直ぐに返信が来て、被災していますので、はんこの事は保留にして下さいとありました。
自宅に帰れず、電話もメールも繋がらない状態の中、
たまたま外部に連絡がとれた日だったそうです。
不思議なタイミングです。

海側の地域のことを考えず、失礼してしまいました。
保留ではなく、一旦キャンセルで構いません。
それより結ばれた縁、何かできることがありましたら、遠慮なくご連絡下さいと返しました。



何も連絡がないまま、1年が過ぎようとした頃、
被災した山側の町の役所にお勤めの方が、ハンコを作りにご来店頂きました。
やっと少し落ち着いてきたと言われていました。
その時に、このお仕事印の方を思い出しました。


そして震災から1年が経過した頃、RE:ざっと書いたものの件名で返信メールが来ましたが、
今ざっと書いたものを送っていないはず、あれっと開くと、1年前のお仕事印の方でした。

ホントに嬉しいご注文です。
4月から使い始めたいとのことです。
自分の今の忙しさはおいといて、その方の4月から使いたいという気持ちに応えたいと思いました。

その方からのメールを引用させて頂きます。

『一年が過ぎまして、やっと職場でも退職者を送ることができるようになりました。

 職場の皆で話し合っても、あのときどうしていたのか、記憶がないのです。

 必死で動き、飲まず食わず、寝ずに働いていたはずなのに。。。

 ぼっかりと記憶が抜けています。自己防衛本能なのでしょうか。

 寒かったことも、何日も職場に泊まったことも、

 全国から本当にたくさんのご支援をいただき涙したことも、

 遠い昔のようにも、つい昨日のようにも思えます。


 無我夢中の時が過ぎ、これからの道の遠さに呆然としている感じです。

 その道へ一歩踏み出す勇気をいただくために、印章を注文しようと思いました。

 困難な中にもほほえみを。そんな思いをこめて上昇印相体をと思いました。』


何度も印稿を書き直し、
笑顔が広がるよう、一生懸命お彫りしました。

何か役にたちたいと思っても、
はんこ屋のできることは、所詮、その人を想ってハンコを彫ることだけですから。

新しく動き出した時間、その時間が少しでも楽しく、ヒカリに満たされますように。

2012年4月

追記
印鑑を見た感想が届きました。
ライオンキングのポスターにある顔のようとあります。
新解釈です(笑)

昨年、はんこ屋が初めて、ライオンキング観たことを知っているのでしょうか。
不思議な縁のお話です。
posted by 一日3本 at 23:34| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いいお話です。想像もつかないようなご苦労があった方にいいお話という言葉は失礼かもしれませんが、胸が熱くなりました。
縁というのは本当に不思議なものです。縁を大切にされているはんこ屋さんもとてもすてきだと思います。私もこのご縁を大切にしたいです。
Posted by Izumi at 2012年04月03日 22:31
コメントありがとうございます。

この方の文書力の素晴らしさと、本当の言葉には力があると、許可を頂き、そのまま引用させて頂きました。

震災は終わったことのように感じ始めている自分への戒めでもあります。

シャチハタの件、忘れているわけではないのですが。。。
Posted by 1日4本 at 2012年04月04日 08:31
ははは。大丈夫ですよ。
やっつけ仕事をされないはんこ屋さんだからこそ、信頼して注文いたしました。覚悟の上ですよ〜。
と、軽くプレッシャーをかけてみました笑
でも、ほんとに大丈夫ですよ(^o^)
Posted by Izumi at 2012年04月04日 22:48
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