カワイイお客様、モチーフ入り印鑑が欲しいようです。
前のお客様は、キレイな人への印鑑の引き渡しでした。
ダラダラと話していたかったのですが、
しぶちかはんこ屋ギャラリーをしげしげと見ている方がいましたので、
コンパクトなお引き渡しの儀式にしました(笑)
てっきり、このブログを読んでのご来店と思いました。
「下の名前で、桜を入れたいのですが、できますか?」
「できますよ」とざっと書き始めます。
「実は、最近(牛に引かれて行くところの近くで)手彫りのはんこを作ったのですが、
見本が可愛かったので頼んだ書体で、出来上がったはんこを見た途端、
あまりに残念な出来に悲しくなりました。
手彫りだからイイというわけでは、ないんですね。
一緒に作った友達の分は良かったのですが。
今日たまたま、こちらのはんこを見て、これだと思い注文しました。
出来上がりは送ってもらえますか」
「いいですよ。遠いんですね」
はんこを作って悲しい思いをさせたらダメだよ、知らないハンコ屋さん。
前向きな気持ちになれるものを作らないと。
お仕事を聞くと下着屋さん。
なので
「見ただけで、バストサイズわかりますか?」とはんこ屋の楽しみだけのために聞いてみます(笑)
「触ってみないと」
得した気持ちになる回答でした。
なんで、他のハンコ屋の失敗をカバーしなければならないんだと、ちょっぴり思いながら、
このカワイイ方のはんこに対するマイナスイメージを払拭しなければなりませんので、
「ここに桜以外も入りますよ。何か希望ありますか」
「ネコ入りますか」
「ネコか。
どんなネコですか」
「このネコを飼っているのですが」
ケータイで写真を送ってもらいました。
こうやって、自分で自分の作業量を増やしているんだよな(笑)
悲しくなるハンコの印影も、興味があるので、送って下さいとお願いしました。
ちょっと時間を置き、送られて来ました。
人を悲しくさせるハンコ。
これはヒドイ。どう考えても、ハンコを彫る修業をしてない素人のものです。
1本は古印体風で普通に彫ってありますが、字は曲がっているし、完成品とは言えません。
最初から枠に欠けがあったそうです。
下手なので、逆に完全手彫りと分かります(苦笑)
もう1本が更にヒドイ。
これです。
白文で彫ってありますが、独特な書体といっても、これでお金をとってはいけません。
プロなら縦で2文字彫り、センターから2文字目をズラすとしたら、絶対左にズラします。
ハンコはどんな時も右から読むことが染みついていますので、
2文字目を右にズラすはありえません。
真ん中の縦棒、少なくても1本は、真っ直ぐに近くします。
こうして基準を作ることで、印影のバランスがとれます。
基準無しで、バランス良く見せるには、相当のデザインセンスが必要です。
はんこ屋のプロと素人の違いは、お金取る取らないだけでなく、
どんな名前でもある程度のレベル以上で彫れるのがプロというものです。
ちょっと画像を補正してみました。
朱肉もあまり、上手くのらないそうです。
自然木だからか、表面を平らにしてないからか、どちらかの理由か、両方の利用かです。
あっ忘れるところでした。
これが、しぶちかはんこ屋謹製、前向きになるはんこです。
触らなくても分かります。触るともっと分かります(笑)
作り方よりも、そこに頼むとどんなハンコが出来るか、重要とお分かり頂けましたでしょうか。
2012年03月29日
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実印チャレンジもしてみたのですね。
その県では、モチーフはダメと言われている中、横棒をギターのシルエットにしたことがあります。
今度ご来店の際には、セクシーで健康的な下着での登場よろしくお願いします(笑)
長野市の土産物屋さんで扱ってる林檎の小枝の遊印ですね。
確か2000円しなかったように思います。
その方も高くなかったと言っていました。
値段に関係なく、人を悲しくさせるものを
作ってはいけませんよね。