2006年09月12日

筆意と刻意1

表札、賞状を書いて頂いている先生とも長い付き合いになります。
もう78才くらいの方です。
若い頃は、三越本店、西武渋谷店などで仕事をされていました。
故 橋本龍太郎氏は、大臣時代に自分の名で出す表彰状は、
全てこの先生に書いて貰えと
勤務先が変わっても追いかけられたそうです。

表札も池田元総理の自宅用を書いたり、
それを見た有名企業の会長から注文を受けたり、
すごい人なのです。

そんな先生が、うちからの普通の表札を書いてくれるのは、
先生が若くお金のない頃に知り合い、
それ以来ずっと仕事を頼んでいるからです。
と、単純に思っていました。

ところが、父が引退し、代が変わった時、
実は先生からの試験があったことを後から教えてもらいました。
自宅用の表札を先生にお願いしたところ、
まず半紙に10枚位書いて持って来てくれました。
「どれが良いと思う」
「どれも良いですけど、これが一番好きだな。
でも表札にするならある程度読めないといけないから、こっちかな」
「君はなかなか、面白いね。これを選ぶんだ」
「でも最初に選んだ方がすごく好きです。どうしょうかな」

後日、先生から
「代が替わり、若い人になって字もわからないのに、
あれこれ注文つける人がいるんだ。
そういう所からの注文は請けないんだ。
その点きみが、こないだ選んだのを見て、面白いなと思ったよ」
この時になって、あれが試験でどうやら合格したのを知ったのです。

それ以来、出来上がったものを届けてくれる時に、
含蓄ある昔話や職人として心構え、商売のヒントをくれます。

そしてその先生がいくつになっても
もっと、日本字の美しさを表現できるはずだと
更なる成長を目指していることを知り、
影響を受け、自分も少しでもイイ印鑑が彫りたいと
努力を惜しまず、上を目指すようになったと言えます。

明日の『筆意と刻意2』につづく

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posted by 一日3本 at 17:33| Comment(0) | TrackBack(0) | はんこ屋職人養成講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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