印材屋さん
「一般的に東京のハンコ屋さんには、印相は無いんですよ」
「えっ、印相体で彫るよね」
「あれは、印相体ではなく、吉相体(きっそうたい)です」
「違うの?知らなかったよ」
はんこ屋になって19年、いまだに、知らないことに出合います。
印相体なのに、なぜ八方位の枠に接しない、文字的に難しいわけでもないのにと
他で彫ったはんこを見て、思うことがよくあります。
そうか、印相体でなく吉相体なので、ちゃんと枠につけていなかったのかと思い当たりました。
印材屋さんに印相体と吉相体の違いについて、聞いてみました。
「昔、山梨から印相印がやってきた時、良いところと悪徳商売が混在していて
東京のはんこ屋さん達は、毛嫌いしたわけです。それで印相を否定しました」
「印相体と吉相体、どこが違うの?
否定しておいて、ほとんど同じに見えるけど」
「印相体は八方位からくるじゃないですか。
吉相体には、それはありません。
あくまでも書体のひとつです。印相学にのっとていないのが吉相体です」
なにか、この説明を聞くと、否定した印相印が流行ってしまい、
その文字の形の部分だけとったのが吉相体と思えます。
ならば、吉相体というネーミングは、どうでしょうか?
印相を想起させるような吉相、誰がつけたの存知上げませんが、大きな?マークです。
小篆をベースにした細目の吉相体、あまりオリジナリティを感じませんでしたが、
もっともらしい書体名をつけているサイトを以前見たことがあります。
あれは、吉相体なので、八方位関係なし、デザイン追究形なんですね。
まあ、印相体といっても、八方位を意識しない所が、たくさんあるようですが。
それにしても、当店は、東京の渋谷で、間違えなく54年以上営業している、はんこ屋です。
どうして、印相派なのでしょうか?
祖父や父の時には、忙しい時は、日本印相会に下請けを
お願いしていた時期もあるようなのです(はっきり確認はできません)
父が吉相体と呼んでいるところを聞いた記憶がありません。
もう、わからない謎です。
吉相体を彫るくらいなら、
ちゃんと八方位を意識して印相体にした方が絶対良いです。
そして、このはんこを使う人のことを想いながら彫れば、真の印相体の出来上がりです。
しまった。笑いなしのブログだ。
2011年10月12日
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