すでに使わなくなった印鑑を彫り直して、
新たな印鑑として使いたいとお考えの方が、結構いらっしゃいます。
それは、親の形見であったり、
旧姓で彫ってあるものだったり色々です。
しかし、考えている値段より高く、彫り直しをやめる方も
数多くいらっしゃいます。
リサイクルには一般的にお金がかかるから高いのとは多少違い、
印鑑の料金の大半が技術料だからです。
当店での彫り直し料金は、新規の彫刻料込みの印鑑の代金の
象牙で5割、オランダ水牛で6割、黒水牛で7割です。
柘は例え本柘であっても、朱肉を使って
押してしまうと朱肉の油分が染み込み固くなりすぎて脆くなり、
彫り直そうとすると砕けてしまうこともありますので、
まず、お受けすることはありません。
彫り直しの作業はまず印面を平らにします。
手彫りのはんこは、仕上げ刀が深く入っている所が必ずありますので、
その旨お客様に伝えましょう。
思うよりも短くなる場合があります。
また、印材の表面が傷ついている場合、傷のないところまで、
短くしなくてはなりません。
ケースなしで保管していた場合、
まれに象牙やオランダ水牛は、
虫がくっていることもありますので、
そのこともお客様に伝えましょう。
印面を平らにするには、平らに擦る機械「面すりくん」や
光学式の彫刻機の針を変えて平らする方法があります。
当店では新トクサ(カミヤスリのようなものが板についている)で
印材が平らになるまで、手で擦ります。
これは機械で平らにしても、手で平らにしても出来栄えは同じです。
うちでもあまり、彫り直しの注文が多いようなら、
面すりくんの導入を考えなければ(笑)
彫り直しで持ち込まれる印材で一番多いのは象牙です。
象牙にはランクがたくさんあり、
横目、目無し、特上、上、並、特価品とあります。
手で彫れるのは、並までで
特価品の象牙は漂白して油分が抜けて脆いもの、
色がやけて茶色で目が粗いもの、
芯にそってとっていないもの等があります。
昔、作った象牙の印鑑は良いものが多く、
何より手で彫ってあるので、手で彫り直せる安心感があります。
但し、横目といって年輪のようの模様が印材のヨコにあるもの
つまり、芯を真横からとったものは、一番高価なのですが彫りにくく
仕上げ刀がぼろぼろになり、彫るのに時間がかかります。
そして、印材として強くありません。
次に多い黒水牛にもランクが色々あるのですが、
とにかく芯が入っていないものは、彫り直しません。
彫り直しではありませんが、
数年前、千葉県の方で成人式の記念に黒水牛の印材だけを
プレゼントした市があるそうです。
しかし、ランクは並以下手彫りのお店はえらく苦労したそうです。
手彫りのお店は彫りやすさ重視なので、
黒水牛も普段特上を使っています。
お盆休み期間に来られたお客様で、
「彫り直しやってもらえますか」
「印材によってですが」
「これなんですけど」
印材の表面に鶴の彫刻がある白い印材です。
手にとってみると軽い、そして機械的な目があります。
ラクトで15ミリ手彫りで姓名彫ってあります。
「この印鑑使いませんか。使わないのなら、
ちょっと彫ってみたいんですけど」
「使わないから、いいですよ」
彫ってみると軟らかい。
「残念ながら、これは象牙ではなく練り物のラクトです。
彫り直し料は象牙より、全然安くなりますが、
喜んで頂いて良いのか悪いのか」
「とにかく、代々使っている印鑑なので彫り直したくて、
どこで彫り直して良いかわからず、知り合いに渋谷で
手で彫っているはんこ屋さんがあると聞いて、
ふらふら歩いて来たらあったんです。
場所がわからなければ、今度、具体的に場所を聞こうと
思っていたんです。」
で、ご注文頂きました。
なんか有名なハンコ屋さんなの?
渋谷のはんこ店の地図、印鑑のインターネット通販は東堂印章公式サイトへ
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