遅くまではんこを彫っていると
男気くんやサンクカロさんが先に帰る時は、
有り難いことにちょっと声を掛けてくれます。
孤独に彫っているので、声掛けにとても感謝しています。
ある日、ちょうど1本彫りあがるところで、
押しては彫り、押しては彫りを繰り返していると、
その様子を見ていた男気くんが
「何が違うんですか」と聞いてきました。
「この辺がちょっと太いでしょ」
「あまりよくわかりませんよ」
「まあそうかな。でも納得いくまで彫るんだ」
別の日、今度はサンク・カロさんが、仕上がる直前にあたり、
「それで完璧じゃないですか」
「もうちょっと」
「(彫るのに)終わりなんてないんでしょ」
「自分が彫るを止めた時が終わりの時です」
普段のはんこ屋らしくないカッコイイセリフです(笑)
そんな自信を持って彫っているはんこ屋ですが、
自分でも「終わりなんてないんじゃないかな」
と思うのは落款印です。
絵や書の作品の隅に押すはんこです。
注文を受ける際には、篆刻作家ではないので
あくまでもハンコ屋が彫る落款印であること、
最近彫った印影をいくつか見せること、
それで、納得頂いた方のみ注文を受けます。
落款印と行印相体のはんこは、出来上がるまで
どんなはんこになるか、わかりません。
他のはんこは、彫る前から、頭の中に印影があり
あとは、いかにそのイメージに彫るかです。
落款印は彫る前に出来上がりイメージが、
はっきりしていないので、
1度彫って納得できず、2度彫ることがよくあります。
それでなくても、時間のかかる落款印、余計時間かかります。
わざとあまり、切れなくした仕上刀で、彫っていく落款印は
普段、繊細に彫っているのと違い、
大胆に彫れるので面白いです。
しかし、これで完成かな、いやもう少しの繰り返しで
終わりがないです。
あと100本くらい落款印を彫ったのなら、
彫れる前からイメージが浮かぶようになるでしょうか。
落款印は、彫るのに大変なのと、感性が合いそうな人からしか、
注文とりませんので、ひと月に1本くらい、
あと10年くらいかかりそうです(笑)
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2006年07月06日
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