残念ながら、はんこ屋と本当に遊びたいわけではありません(笑)
はんこ屋を信じて、
遊び心を持ってはんこを彫って下さいということです。
人とは違う手彫りならではのはんこが欲しいという事ですね。
お客様といってもひとりは、
最近仲良しの前のお店のサンク・カロさんです。
毎日はんこを本当に忙しく手で彫っているのを見て
欲しくなったに違いありません。
(サンク・カロさんの時計を見ていると欲しくなるので
見ないようにしています)
「書体はお任せで遊んじゃって下さい」
そうはいっても何かテーマ、モチーフが欲しいので
サンク・カロさんのお店でバリ島で作った看板を見ていました。
そしてアルバイトくんに
サンク・カロの意味を尋ねたところ5つのタイル。
確かに看板の中に5つのタイルがあります。
はんこの中に5つのタイル(長方形)を配置したらと思いつきました。
先ずは、上昇印相体で、印影を書き、
それから5つのタイルを配置します。
この順番で書けば、万が一、
タイルをとらなければならなくなっても、
デザイン的におかしくありません。
左右対称ではつまらないので遊び心をもって置いてみましょう。
次の方は、「落款印の既製品はありませんか」と来店されました。
「うちでは置いてません」
「16ミリくらいの大きさがいいのですけど」
「そのくらいの大きさになると既製品はどこでもないと思います」
「作れますか」
「作れますが、私が彫りますので、
篆刻作家が作る石の落款印ではなく、
はんこ屋が彫る木の落款印です。
最近彫ったのは、こちらでこの程度のものです」
「これなんか、すごく面白いわ。
これくらいのものを押したら作品がぐんと良くなるわ」
「一つ押すなら赤が出る白文の方が全体が引き締まります。
作品はなんなんですか」
「万葉がなで初めて大きな作品を書いたの。
先生に言われて16ミリくらいのものが欲しいの」
「まず彫るのに1週間欲しいのと、
16ミリというサイズはありませんので15か18ミリになります」
「18ミリがいいわ」
「18ミリですと15800円になりますが」
「そのくらいなら、ぜひお願いしたいわ」
(キター!15800円をそのくらいという格差社会の勝ち組の人だ)
「彫るお名前は」
「万葉がなでこう書いてあるところに押すの」
「万葉がなについて勉強不足で、この字は何にあたりますか」
「『さ』で元の漢字は『沙』」
「この字を篆書の更に古い字、小篆にするとこうなります。
次の字は万葉がなのままの方が面白いかも知れません」
とざっと書きました。
「こんなはんこが押してあったらいいわ。
このくらいの値段なら遊んで下さい。出来上がりが楽しみだわ」
「私も楽しみです」
この頃、勝ち組の人が増えている気がします。
遊んで下さいと言われると、
自分も出来上がりは楽しみなのですが、
彫り上がるまでは逆に大変です。
『遊び』こそ真剣そのものです。
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