奥様の方が当店のことを研究して頂き、
ご主人は奥様に当店のことを聞かされ、連れて来られた感じです(笑)
奥様はひらがなのファーストネームで、
印相体と行書をベースにした印相体の二つをざっと書き、行印相体に決まりました。
ご主人は苗字で作成するのですが、バランスが取りにくい漢字で、
えん印相体希望でしたが、横入れではまとまらず、縦に入れると逆にうまく丸くなります。
ご主人の方は、他にはない、えん印相体の縦入れが気にいって下さったようですが、
奥様の方はえん印相体を選んだことに驚き、
できれば、縁起を担いで、横入れにして欲しいようです。
このご主人のことを、今回のはんこの注文を通して、とてもイイ男だなと感じました。
というのは、すぐに自分の考えがあって言え、
でも他の人の意見を聞く耳を持ち、納得すれば、
最初の意見を変えられる、なかなかいないナイスガイなのです。
「横入れで、構印相体にすると『門』の下に空間が出来てしまいますので、
そこにモチーフを入れると空間がうまく埋まるのですが」というと
店頭のしぶちかはんこ屋ギャラリー(コルクボード)を見に行きました。
奥様に「男性はモチーフをなかなか決められないんですよ。職業とか趣味とか干支がはっきり…」
話している途中で、戻って来られ
「龍がカッコイイな」
「モチーフは自由なんですよ」
「じゃあ、ボクシンググローブ」
「ボクシンググローブ!?」
「ボクシングをはじめたところで、もう面白くて」
「ボクシンググローブ、こんな感じですか」
ボクシンググローブは縁起物とは、思えませんし、イメージもイイとは限りません。
ご本人の希望とはいえ、なんとなく躊躇していると、
奥様から反対意見が出て、やはり龍の方向になりました。
龍にしてざっと書き、気にいって頂き、
今度は奥様の方も一部龍にしてみましたが、龍がない方が上品なので、無しになりました。
そうこうしているうちに、ご主人のことが好きになっていましたので(笑)、
つい思い付いてしまったことを提案してみました。
「龍は普通、玉を持たせるのですが、龍の手をボクシンググローブにしたらどうでしょう」
「それいいですね」
自ら、難しい領域に踏み込んでしまいました。
自分で自分を追い込める人は、強いといいますが(笑)
モチーフにアレンジを加えるのは、絵を描くのが苦手なはんこ屋はしてはいけないのに。
幸い、龍は、かなり彫って来ましたので、何とかなりました。
お渡しの時、上品で綺麗な奥様には、会えませんでしたが、
奥様からの手土産、金沢『村上』のふくさ餅を頂きました。

栗味が特に美味しかったです。
ご主人にも、もちろん喜んで頂き、「周りにネタとして、話しますよ」と
口コミを約束していってくれました。
<業務連絡>
ついモチーフの話ばかりで、伝え忘れてしまいましたが、ご希望通り
どちらの印鑑も印鑑の画数を考慮して良くしてありますので、ご安心下さい。
「み」がざっと書いた時より、先がうねっとしているのは、画数を考慮した結果です。
今回もう一つ、気になった会話は、注文時にご主人が
「おかあさんに、面白いもの作りはったなと言われるわ」
(正確ではありません。こんな感じの関西弁です)
「関西では、面白いもの作ったと誉められるのですね」
このところ、関西出身の方のご来店、ネットで関西方面からのご注文が目立って多いです。
しかし、奈良本社の印材問屋さんが、東京はまだいい、関西の景気動向はひどいものだと
嘆いていると聞いたばかりです。
うちは、関西からのご注文。結構あるのにな〜と、この話を聞いた時、思ったのでした。
そうです。うちのはんこは、面白いものなので、注文が多かったのですね。
「ストレート!」
渋谷スクランブル交差点下の地下街『しぶちか』にあります・東堂印章公式サイトへ

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