カタカナを彫る機会が、たくさんあります。
そこで、よく考えるのが濁点の位置や大きさ。
周りの字との関係などで考える必要があります。
「ブ」で考えてみましょう。
このMSゴシック?では、「フ」の上に点々ついています。
しかし、ハンコに彫る場合は、
点々が上の位置では余計な空間が出来てしまい、
印相体(D)以外では、めったにこの位置には彫りません。
濁点は横か下でしょう。
濁点を「フ」の右横にした場合、
前後の文字と横幅を濁点まで入れて、同じ幅にするか(A)、
濁点部分は前後の文字と横幅からはみ出すか(B)という
問題が出て来ます。
「フ」は大きく見える字ではありますが、濁点まで入れて
横幅を揃えてしまいますと、小さく見えてしまいます。
出来るかぎり、濁点部分ははみ出して彫った方が良いです。
しかし、スペースの関係で、難しいケースもあります。
濁点を「フ」の右下にした場合(C)、
空間はとても良く埋まります。
しかし本来の濁点の位置とは違いますので、
濁点の一つを「フ」に付けることで、(あるいは両方とも)
この濁点は「フ」に属していて「ブ」ですよと
示してあげます(笑)
ただ、外国人さんの認印の場合、本来の濁点の位置とは違いますので
間違った字を教えてしまうことになるので、躊躇します。
印相体にした場合、「ブ」に見えれば、どの位置でもよく
濁点のどちらか一つまた両方を「フ」につけた方が、
分かり易いです。
最近「ゼ」が入ったお名前を上昇印相体で、ざっと書いたところ
濁点は枠に付けないものかとの疑問を投げかけられました。
確かに、枠に付けた方が空間が埋まります。
なのになぜ、枠に付けなかったのでしょう。
無意識にしたことですが、質問に対しては、あらためて考えるまでもなく、回答できます。
濁点(点々)は、個人的見解ですが、あまり枠(○)に付けません。
濁点を枠に付けると点々が目立ち過ぎる、
長く見え過ぎることがあるからです。
『ゼ』の上の方の右端で八方位の右上の点に付けるため
デザイン的には、『ゼ」をもう少し上にしたいところですが
その理由でやや下になり、濁点を枠につけると、
点が長過ぎることになります。
無意識にこんなことを考えていたんだと自分で納得です。
しかし、実際に彫る段階でこの空間が気になり始め
試行錯誤の末、濁点一つだけ、ぎりぎり枠についてしまったという
イメージで彫りました。
また濁点が他の文字にくっついてしまうと、
他の字に見えてしまいます。
たかが点二つ、それが、かくも難しいのです。
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