2009年12月10日

小篆と印相体の融合

ハンコのコンクールでは、篆書でも印篆と小篆など違う篆書を
1本の中に彫ると減点対象だそうです。
まして印相体は、評価の対象にもならないようです。

さて、小柄な女性がご来店、10年以上前から当店の前を通り、
いつかここでハンコを作りたいと思っていてくれたそうです。
先に会社を起こす人に当店を薦めてくれ、
そのハンコを見て、ますます
いつか当店ではんこを作るぞと思ってくれたそうです。
ありがたいことです。

10年以上前からですので、父の印象が強いそうです。

「ブランドのハンコを作りに来ました」
「はあ」
「ブランドのハンコといっても、わかりませんよね。
 私はアクセサリーデザイナーなのですが
 友人のために作っていたアクセサリーが、
 いつの間にか店頭に並ぶようになり、
 この度、本格的に始めることになりました。
 そこで、お買い上げ頂いたお客様に
 一言添えたカードを書いているのですが、
 そこに押すはんこを作って頂きたいのです。
 おばあちゃんに付けてもらった「絢の」がブランド名です」

さて思い入れたっぷりのはんこ、どのようにしましょうか。
まず材料ですが、石のアクセサリーを作られているので
石にしたいとのご希望がありましたが
石類は仕上げ刀が効かず、手で繊細には彫れないことを説明し
納得頂き、アメ色のオランダ水牛となりました。
「こうやってイイ色から決まっていくんですよ」
「石も同じですよ。穴の位置が悪いものは使えないんです」

材料が決まり
「いよいよここから、本番です」
漢字とひらがなでバランスが難しいです。
いったいどのくらいかかるか、わからない接客の始まりです(笑)

まず、ロゴがあるかどうかお聞いたところ、
三角形でAYA?を示したものがあるそうで、
それを入れることにしました。
糸偏は、「8」というか∞無限大を意識します。

ひらがなの「の」は元の漢字
「乃」が「の」に変わっていくところの
行書をベースに印相体にします。

この「の」中にロゴを入れます。
それにしても「の」は小さめに彫った方がかっこいいので
『の』の上に空間が出来てしまいます。

何を入れましょうかと相談しているうちに
モチーフというか、苗字を入れてもいいかなとなりました。
(はんこ屋が字典を見てその字の小篆が素敵だったので)
でもブランド名は「絢の」と苗字は無しですので
「絢の」が目立つように苗字を入れる。

モチーフ感覚で小篆で苗字を入れられるのでしょうか?
ざっと書いてみて、なんとか、まとまりそうでしたので
これで決定です。
もう終わらないかと思った接客に出口が見つかりました。
でも、小篆をベースに印相体にすることはあっても
ホントに印相体の中に別の書体、小篆を入れて
まとまるのでしょうか。

この方のお話を伺うと、日本の伝統芸能、
職人さんに囲まれて育ったそうで
接客の終わりに
「僕はあんまり伝統的では、ないですけどいいですか」
「私も伝統的ではない世界に入りましたので、いいんですよ」

書体がどうこうではなく、美しいもの、その人にあったものを彫る。
それこそが、しぶちかはんこ屋らしさとがんばりました。
伝統を新しい形で、そして見たことない感じになりました。
でも奇異な点はなく、納得の一品です。

残念なことに、日曜日に受取りに来られ会えずじまいだったのですが
昨日、電話でお願いして、快く公開を了承頂きました。
すでに、お客様に一言書いて、印鑑を押したものを渡したところ
好評だったそうです。
嬉しいかぎりです。
aya2.jpg

ここで、はんこ屋としての疑問が。
もしロゴを取ったならば、
フルネーム彫ってあるだけになりますので
どこの自治体でも印鑑登録可能なのでしょうか?
でも実印としては、こわくてこのようには彫れません(笑)

東京の渋谷駅ハチ公広場下のはんこ店の地図
(隣はメガネ屋さんです)、
ハンコのインターネット通販は
東堂印章公式サイトへバナー かわいい英樹1g.gif 
posted by 一日3本 at 13:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 無理を聞く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日は、ご丁寧に有り難う御座いました。

>>もう終わらないかと思った接客に出口が見つかりました。

(笑)

わたくしには・・・
出口が見えておりましたよ♪
その心構えで伺いましたから^^

はんこ

美しい文字に惚れ惚れしております。
心より感謝申し上げます。

絢の
Posted by 絢の at 2009年12月11日 19:14
コメントありがとうございます。

いつか、ここで、はんこを作りたいと思っていたというのは、ホント有難く、
少しでもその想いに応えたいと
頑張りました。

父より上手と言っていたの、
ホントだったでしょ(笑)

お仕事の発展、心よりお祈り申し上げます。



Posted by 一日5本 at 2009年12月11日 20:48
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