篆書体を印相体にどうすればなるか、考えるために
もちろん(笑)『徳川家康』で篆書と印相体で書いてみました。
(左)柔らかめの篆書で、手書きを証明するために、
あえて鉛筆の線を消しませんでした。
はんこ屋職人が篆書が彫れないではないかという
疑問を晴らすためです(笑)
(右)その人のことを想って彫る印相体ですから、男性用の堅めの
印相体で書いてみました。
もうひとつ、パソコンのフォントの例もあると、
機械彫りとの違いが出て良いのですが、
手でトレースしても、パソコンのフォント感は出せないと
気付いてしまったので割愛です。
印相体フォントは、篆書の字の形を
丸ゴジックにして隅を伸ばした感じです。
では職人はどのように印相体を作るのでしょう。
1.横棒はやや上向きに
篆書体は横棒の左右がやや下向きなのがわかるでしょうか。
それに対して、全てではありませんが、印相体は横棒の左右を
やや上向きにします。
(パソコンのフォントの横棒は、真直ぐでした)
2.自然な流れで文字を伸ばす
なだらかな曲線で文字を伸ばしていきましょう。
縦棒の左右は文字の外向きに、
真ん中の棒は真直ぐすると文字が曲がって見えません。
篆書にない余計な棒は出来るだけ付けない方が自然で良いです。
但し、安定感を出すためや八方位を網羅するために、
四隅を伸ばすのは、構いません。
(例:『田』の四隅を伸ばす)
3.文字の配置には細心の注意を
『徳川家康』の場合、上の2字のちょっとした空きが
文字として成立させるのに重要です。
左(「家」の上の点の空き)右(「徳」の右上の空き)の空きを
出すためには、荒彫り段階で空きを仕上刀が使える大きさにする
必要があります。
(わかりにく表現でしが、実際に仕上刀で枠を整える段階で、
この意味がわかるかと思います)
この空きのために、へんとつくりのバランスを変えてみるのも
良い方法です。
4.八方位を意識する
円を八等分して、八等分した範囲内のそれぞれに枠と文字が
接していれば、良いとするのが一般的ですが
ここはこだわりを持って
八等分(八方位)の中心
(0度45度90度135度180度225度270度315度)
の位置に枠と文字が接するように印稿を考えてみましょう。
制約はアイデアを生みます。
5.オリジナリティを出す
印相体は、ある意味自由な書体です。
注意することは、文字として読めることです。
読める範囲内であれば、自由にアレンジできる印相体で
その職人だけのオリジナルを作っていきましょう。
字林に字の形がある篆書と
篆書を枠に合わせてアレンジする必要がある印相体、
どちらが一般の人にも
職人さんと機械、あるいは職人同士の技量の違いが
わかりやすいでしょうか。
印章組合主催の講座では、一番多くのお客様が求めている
印相体についての具体的な指導はないのかも知れません。
印相体を否定することは、簡単です。
しかし、今一度真剣に印相体で彫ってみましょう。
篆書とは、また違った奥深さがそこにはあるはずです。
どのみち印章はどの書体で彫ったとしても縁起物ですから。
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