印鑑、印影のデザインにはルールがあります。
ルールに則り、はんこを彫ったり、はんこのデザインをすると、まともなものが出来上がります。
しかしそのルールが記載された本も小冊子さえ見たことがありません。長い間、はんこの業界誌をとっていましたが、そこにも印鑑デザインのルールについて記された本も記事も見たことがありません。
では、どのようにして印鑑デザインを学んだかというと、はんこの印刻の下請け会社、松磧社さんが作成した書体見本をよく見ることと
10年に渡り父に印稿のダメ出しを受けて学びました。
ここをもう少し長くするとか、この字を少し下げるとか具体的な指示を受けましたが、その理由については一切口にせず、悔しいことに言われた通りすると良くなりました。
10年くらい経った時に、印稿を見せてもダメ出しすることが極めて少なくなり、自分で卒業として印稿を父に見せるのをやめました(笑)
その過程で印鑑デザインルールが自然と身に付きました。
こんなこともありました。
私のおじいちゃんと一緒に仕事をしていた高齢なはんこ職人さんが、たまたまお店に来て、初めて書いた「弓」字が入った印稿をみて、うなずき、きちんとしているねと言い
「文字と考えずに作ればいいんだよ」
当時ははんこ職人さんが文字と思わずにどうするんだよと心の中で思いました。
今にして思うと、昔の職人さんなので言葉足らずで「文字が彫れるようになったならば、今度ははんこ全体(丸の中のデザイン)を考えて彫るべきなんだよ」と教えてくれたのでしょう。
ペーパーレス、ハンコレスが進む中、はんこ職人という職業は目指さない方が良い仕事となっています。
もし目指すならば、ちゃんと職人になるには10年かかること、日本国内だけでなく積極的に海外へ販売していって商売として成り立つことを念頭に置く必要があります。
あらゆる名前であらゆる書体ではんこを彫って80点以上のものが作れるのがはんこ職人です。
そのためには数を彫る必要があり、はんこの需要が減っていくとホント難しいです。
そこでデザイナーさんならば、印鑑デザインルールも早く理解でき、彫れなくても、印鑑のデザインはできる人達が未来にもいて欲しいです。
そんなことを思い、自分なりに印鑑デザインルールを書いてみようと思います。