あのハンコレスのため、認印の注文や既製品の認印の売上が減り、ハンコタワーの三文判の補充をやめたと言っていました。
本来ならペーパーレスとハンコレスを同時にすべきなのに、紙は残っているのにハンコレスという歪んだ構造ができてしまいました。
ある程度の揺り戻しはあるとしても、はんこタワーを持っているところに政府は補償すべきだと主張するのが印章組合の今の役割なのにね。などと話しました。
その先輩は後2,3年でハンコ屋を畳むことを考えていて、先輩の近くのはんこ屋も2年後の再開発をめどに閉店予定だそうです。
近くのハンコのチェーン店は、はんこの売上は1割程度でほとんどが印刷の売上だそうで、新たにTシャツや箸袋の印刷に力を入れているそうです。
もう、3年後には、はんこ屋さんってな〜に?になりそうです(苦笑)
デザインコンテストに応募したり、公募展に出展
したりしています。楽しいですというと、
知っているはんこ屋の中で一番若いし一番元気だねと言われました。
今、三井ゴールデン匠賞という伝統工芸を次の世代に引き継ぐ人達を応援する企画に応募しようと思っています。
はんこは東京都の伝統工芸品ではありませんが、65年続いているはんこ屋さんなら、応募しても良いと言われての挑戦です。
東京のはんこ屋にとっての手彫りは、印稿を手書きすることと手で仕上げ彫りをすることですよね。50年くらい前から光電式彫刻機はありましたし、正直粗彫りはどのようにしても良いと思っています。
光電式の前にペンシル型彫刻機、大野木式彫刻機もあったので、東京でも完全手彫りの人はいても、その人が上手いかどうかは、別問題。完全手彫りが故に、下手もあり得るからね。
作り方ではなく、印影、印鑑が大切ですよね。
はんこのデザインの面白さをアピールして、興味を持つデザインの素養のある人達に対して、オンラインで研修して、実はこのデザインははんこにして完成すると気付かせ、はんこ職人を作る計画なんですが、一人で背負うには、たくさんの作業があり過ぎるなと思っています。
今からはんこ職人になっても、海外を相手にしていけば、充分食べていけること。
合鍵屋さんではなく(笑)、デザイン事務所がはんこ屋兼業もイイと思うのですが。
このままではこれから、はんこ屋職人を目指しても食べて行けないので、兼業か海外展開で成功するのが良いと思ってます。
はんこ職人に食べて行ける道を示し、はんこを事務用品から工芸品に引き上げ、次世代はんこ職人を育成する。
一緒に取り組んでくれる人、企業も現れると信じて、できることからやっていくしかないと思ってます。
手彫り印鑑にお客様が望んでいることは
1.自分のために作られたものなので、他にはない印影であること。
2.偽造されないこと
3.縁起が良いこと
さて、はんこ職人の、皆さん、これに応えられていますか?
篆書体こそがはんこだというようなものを以前見ましたが、字林のある篆書体では、それに準じて作るためには似たものになるのではないでしょうか。
今の偽造はスキャナーで印影を読み込んで機械に彫らせるやり方です。4隅しか枠と文字の接しない篆書体では、偽造は難しくないようです。
以前年配の方が手彫りした篆書のはんこを偽造され、外車を購入されてしまった方がいました。
枠と文字が付いていると縁起が良いというのは、もう定着しています。
印相体は字林がなくオリジナリティのある印鑑になり、枠と文字を八方位に付けて、枠を細く均一に整えることで縁起がよく、機械彫りによる偽造の心配もなくなります。
昨年、ドイツからのデザイナーさんのご注文は八方篆書体で印鑑をロゴマークの一つとしたいというものでした。
印相体は霊感商法と結びつき易かったり、山梨からの訪問販売で場所を荒らされた手段だったりしたかも知れません。
色眼鏡で見ずにお客様が手彫り印鑑に何を望んでいるのか考え、そのためにはどうすれば良いか、今が手彫り印鑑が生き残る最後のチャンスかも知れません。
印相体という言葉が嫌いなら八方篆書体と呼べば良いだけです。
篆書体に自信のある方は、その印影を印材屋さんに出して、スキャナーで読み込む機械彫りはんこを頼んでみて下さい。
その出来上がってきたはんこの枠を数分整えるだけで、どうなるか、知っておくべきです。
誰かはんこ職人さんが金銭的な大成功をしないと次の世代の人が目指してくれません。
手彫り印鑑という日本の文化が存続の危機であることを自覚して。