はんこ屋は荒見(アラミ)という珍しい苗字です。
おじいちゃん一家はもともとは富山の人で、家族で北海道に渡ったようです。
荒見さんは都道府県別では富山が一番多く、5軒あると何かで調べた時に書いてあった気がします。
昔、インターネットが無い時代に、いとこが京都に荒見神社というのがあると父に教えてくれ、父がとても喜んでいたのを記憶しています。
歴史好きのいとこがどのようにして、荒見神社を見つけたかは謎です。
そう言えば、荒見という珍しい苗字なのに、サンリオピューロランドで荒見という名札を付けたアルバイト君に出会ったことがあります.。
もう、興奮して、免許を見せながら、僕も荒見と言ったのですが、はあと流されてしまいました。
スゴイことなのに(笑)
伊勢には荒見小屋というのがあり、魚のいるところを見つけて、教える役目だったようです。
「荒」には魚という意味あいもあるようです。
移転して、屋号に荒見を付けるにあたり、オープン前に荒見神社にお詣り行きたいと思いました。
一人で新幹線で京都まで行き、更に1時間くらい電車に乗り、城陽市の荒見神社にギリギリ午前中に着きました。
風情のある神社ですが、田んぼの真ん中にあるイメージです。
海は見えません。
ネットで調べた時に「新海」からきた説もあるとなっていたような。
宮司さまの奥さまかな?お話した人に、東京のはんこ屋で荒見と言いますというと、東京のはんこ屋さんね、何度か来て頂いているわと知っていてくれました。
御朱印も頂いたのですが、その中のはんこが酷い。パソコンで既成のフォントで作ったと思われ、バランスはいっさい考えられていません。
右から1行目2番目の喜はつまっていて4番目の内は空間があいています。このくらい、パソコンでも直せると思うのですが。
で、うっかり、こんなことを言ってしまいました。
御朱印用のはんこを僕が作って、奉納させてもらったら、使って頂けますか。
そんな代金を払うわよと言われましたが、それは断り、希望を聞きましたが特に無いそうです。
東京に戻り、お店をオープン。
バタバタしつつ、コロナ禍でなければ、もっと安定できるのにと思ったり、しぶちかに残ると決めていたら、悲惨なことになったなと思ったりしていました。
荒見神社さん用のはんこを漠然と考えつつも、なかなか作れませんでした。
いわば、熟成期間です(笑)
そして、その時が来ました。
歴史を大学院で学んでいる方から
延喜式とは千年以上続いている神社を表していて、御朱印の中のはんこは神様を表していると教わりました。
やっとやる気になり、色々調べて、アイデアをまとめました。
版下を手書きする作業だけで
3日間はかかりました。
構想を練り、熟成期間を考えると途方もないです。
昔は木に彫ったものを使用して
今は、御朱印帳を持って来られると、どんな紙かわからないので、押しやすいゴム印で作るのが
主流のようです。
ゴム印が出来上がり、押さずにいたところに、仲良しのお客様がみえられ、なんか色を付けた方がいいんじゃないですか?と言われました。
はんこは完全一色の世界で、色のあるものを一色にするセンスはあると思うのですが、色はわからないですね。
そして押してみると、
そのお客様がすいませんでした。
押したらこんなにスゴイのですね。
色の話は忘れて下さい。
例えゴム印であっても、手で書いただけではデザインは完成ではなく、はんこにして押して、初めてデザインの完成になるんです。
後はあの酷いゴム印を使える人が、このはんこの良さに気付き、本当に変えてもらえるかです。
ゴールデンウィーク中に送ると、ステキなハンコをありがとうございますと留守電が入っていました。
そして御朱印が送られてきました。
上の小さいゴム印二つは、ハンコ屋が作ったものではありません。
他にはないハンコで、御朱印集めをされている方、はんこ屋のファンの方、京都に行かれた折には是非。
尚、荒見神社さん、たまに誰もいない時間帯があるそうで、遠くから来る場合は電話で確認して頂けると助かりますと言っておられました。
仲良しの霊能者さんに、60歳過ぎてから有名神社、仏閣に行き、御朱印のハンコのダメ出しをして、ご注文を受け、正していこうと思っていたのが、ちょっと早まりそうですと言いました。
すると、足腰が丈夫なうちにしないとと言われました(笑)