個人の3本セットをご注文して頂いた方から、素敵なメールが届きました。ご本人の許可を快く頂き転用しながら、進めて行きます
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以下、簡単ですが、管見の限りを記しまして、感想に代えさせていただきたく存じます。
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さて、皆さん「管見の限り」という言葉を知っていますか?はんこ屋は知りませんでした。
簡単にここで、その意味を書くより、気になった方は、ネットで調べてみましょう。
そうすれば、このような言葉をさらりと使えるこのメールを書いた方の実力の一端が分かります。
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これまでも様々な書類に署名捺印をしてきましたが、今回、荒見様に篆刻していただいた印鑑を押印して気が付いたことがあります。
それは、本当に良い印鑑というのは、見た目や出来栄えは去ることながら、押印する瞬間、そして自分が押印した印影を見たときの心の持ちように差が出るということです。
実印は、重大な決断の最終局面で押印する機会も多く、御朱印でいうところの「神璽」が神様を表すのであれば、「実印」は個人の証明の役割だけでなく、個人そのものの強い意思の表れを紙面に載せるものと存じております。押印という行為によって、ある決断に対する自信や意思の最終確認ができるものと存じます。
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当店ではんこを注文して下さった方々が
このように感じながら、押印して頂いていること思うと、はんこ屋になって本当に良かったです。
更に歴史を研究されている方なので、そのあたりの記述もあります。
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戦国大名も自身の印影に虎や龍を施すなど、威厳と吉祥を込めた印を作成し、文書に押印していました。
不思議なもので、形は違えど、その気持ちがわかるような気がしました。
印鑑は、自身の証明でもあり、押印という行為自体が内心への問いかけという意義をも含むのならば、この意義を果たすためには、やはり機械彫りの印鑑ではその役目を果たすことは困難であると改めて実感しました。
近年、何にでも機械化やデジタル化が進み、人の手によってなされる行為、例えば、書く、縫製する、料理する、などかつては当たり前であったことが機械に取って代わられ、人の手によって行われる行為の価値が増しているように感じます。
印章の分野も例外ではなく、ハンコレス化が進み、人の手によって彫られた印鑑がより貴重となり、ますますの価値を有してくると思います。
この度、手彫りでしか表現できない枠の繊細さ、印影の美しさ、本来の印鑑の意味を捉えた八方篆、真の印鑑と出会えたことに感謝をしています。
そして、人が作るものですから、字に人柄が表れるというように、印鑑にも彫った方の人柄が表れると思います。何よりこのような美しい印鑑を篆刻される荒見様に巡り会えましたことを光栄に思います。
一生ものです。
大切にしたいと思います。
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手でものを作る大切さをあらためて、気づかされました。
作ったはんこに、人柄が表れているとは油断できません(笑)
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最後に、どれだけ資本主義が浸透しても、最終的には人to人です。
会話を大事にされたり、物を制作することに際して、お互いを知ることを
重視される姿勢に強い共感を覚えます。
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おしゃべりまで、肯定して頂きました。
このメールを読んで思い出したのは
「(作っていただいた)はんこを押す時に、このはんこに見合った仕事をしたかと自分に問いかけます」
なんか素敵ですね。
良いはんことは、美しく、自分のために作られたことが実感てできるものであること。
そして、押印する人がそのことに気付いていることが重要です。