2018年05月12日

枠が無いと難しいんです

以前、5センチ角のハンコをお作りしたことのあるお坊さんから、「南無阿弥陀佛」と彫って欲しいといわれ、それ自体は良いのですが、枠が必要ないとのことです。
ゴム印をすすめてみたのですが、ハンコを押した時に気持ちを込めたいので、木で彫ったものと言われました。

枠が無いというのは、デザイン的にも、彫る技術的にも難しいです。

はんこのデザインは、文字が太い時は枠を細く、文字の細い時は枠を太くして、そのコントラストで美しく見せるものです。

行書などで右肩上がりの文字にしてしまうと枠があると曲がって見えてしまいます。
ハンコの文字は極端に右肩上がりにはしません。
書家の先生が印稿を書いても、なかなか上手くいかないのは、このためのことが多いです。

ところが今回は枠無し、どんな文字にして良いか、わからなくなります。
ご本人が書いたものをベースにしたもの、辞林を見てはんこ屋がレタリングしたもの、ネットの画像検索で出てきて良いと思われるもの。
3つざっと書いて、ご本人に選んで頂くと、はんこ屋がレタリングしたものになりました。

彫るにあたっては、枠が無いと文字ではないところに朱肉が付いて汚してしまうことがあるので、なるべく深く彫る必要があります。

やっと完成。
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3重丸は後光の意味だそうです。
posted by 一日3本 at 09:13| 無理を聞く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする