2017年11月01日

10月の出来事

10月の第1週、2017年では一番多く、ご注文のお客様達に来店して頂きました。
なぜ10月にこんなにも忙しいと思っていました。
そんな中、電話そしてメールでの問合せの後、一流バンドのメンバーさんが本の出版にあたりサイン会があり、本気で書いた本に見合うハンコを求めてご注文に来店して頂きました。

漢字1文字を鳥の形で、落款風にお彫りするもので、いわゆる鳥虫篆と呼ばれるものがご希望です。
ご来店された女性はノーメイクに近く、キャップを被っていても、オーラのある人でした。
そんなアーチストさんにもかかわらず、ハンコ屋プロとしての意見にちゃんと耳を傾け、自分の希望を上手に伝えて来ます。
更には、はんこ屋のどうでもいいような質問にも答えてくれ、とても感じが良く素敵な人でした。

気付くと、石に彫った落款印風にギザギザさせる模刻をして、文字の一部をモチーフに変えた上に鳥と草で文字を作るという、今まで彫ったことのないようなものを作ることになっていました。

そのはんこが上手くできるか、直ぐに彫ってみたいところ、ご注文のはんこは、順番に彫っていく必要があります。

どのくらい時間がかかるか、わからない仕事を抱えていると気持ちが落ち着かないものです。

ラフで書いたように印稿を書いてみると、モチーフだけが浮いてしまう感があり、モチーフの箇所にも鳥を加え、草の部分も鳥風なところを作り全体の調和が取れました。
更に落款印の章法、留空呼応法を用いて空間を呼応するように作りました。

出来上がった印影を見ると、アート作品になり過ぎています(笑)
自分だけで考えて作れる範囲を超えてしまいました。
アーチストさんに頼まれると想像以上のものができてしまうことがあるのですねと印影を見ていると、あれ、この印影を夢で見たことのあると気付きました。
正しい道を歩んでいます。

アートよりなものが出来てしまうと、逆に心配になります。感性で嫌いと言われてしまうと反論のしようがありません。

お渡しする時に、見た途端に喜んで頂き、ホッとしました。
このはんこを押すので、サイン会が楽しみになりましたとまで、言って頂き、本とCDにサインを快くして下さいました。

あまりにも素敵な人でしたので、一緒に焼鳥食べに行きたい旨も伝えてみました(笑)
もし叶うとしても先のことですが。。。

お渡しした後、力が抜けてしまうのを感じ、このはんこを渡すまで自分がいかに緊張していたかが分かりました。

ちょっと変わった10月でした。
posted by 一日3本 at 11:05| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする