夜8時以降は、自分としては大切な仕上げ彫りをする作業時間と思っています。
店舗が狭いこともあり、夜8時以降もシャッターを閉めず、電気も点けたまま、ひたすら話しかけちゃダメオーラを出して(笑)真剣に彫っています。
トイレの場所を聞かれることが多く、そのことで作業を中断したくないのです。
夜も10時を過ぎてから、40代の男性がシャチハタはダメで認印はイイとか、海外生活が長いからなんだか分からないよと、聞こえような独り言を言いながら、既成の認印を購入されます。
印刻作業を中断して
「430円になります。」
すると「どうしてシャチハタはダメで認印はイイとかあるの?」
「それは、僕が答えるべきことではないと思います」
シャチハタはダメで認印はイイと決めたところに聞くべきことで、はんこのプロに430円では聞けないよという気持ちです(笑)
「知っているなら、教えてよ」
これが10代20代の人なら、よく興味を持ったと、喜んで説明して、実印をいつか作りに来てねというところです。
以前なら、作業があるのでとか言って、冷たく追い返すところですが、そうすると怒って居座られることがあり、時間を無駄に取られてしまいますので、あなたはその年でこんなことも知らないのねという感じを込めて(笑)教えておきました。
「よくわかったありがとう」とお礼は言えて帰って行きました。
さてみなさん、シャチハタと朱肉をつけて使う認印何が違うと思いますか?
(以前このブログでふれたかと思います)
作業の邪魔をされたくないので、
あらためてシャチハタと認印の違いをまとめておきます。
1.シャチハタは印影が同じ、認印は微妙でも違う。
インクが浸透している浸透印、いわゆるシャチハタはメーカー、サイズさえ同じならば印影が同じです。
ですので、簡単に同じ印影のものが手に入ります。
それに対して既成の認印でも、作るメーカーは作るロット単位では同じでも、次に作る時には太さや字の形を少しでも変えるようにしているそうです。
既成の認印を作っているのは数社でも
昔買ったのと同じ認印を探してもなかなかありません。
シャチハタより同じ印影を手に入れにくかったです。
ところが100円ショップのはんこは、彫らずに型にプラスチックを流しこんで作っています。
するとチェーン店ごとに同じはんこ(もどき(笑))が手に入ってしまいます。
すると同じ印影が手に入りにくいから朱肉を使う認印だけokと理由がなくなってしまいます。
2.朱肉は100年経っても印影が残る。シャチハタは3年くらい?
朱肉の優れていることは押した印影が100年以上残ることです。
江戸時代に描かれた日本画のなかの落款印、修復はあるのかも知れませんが今でも見れます。
それに対してシャチハタの印影は3年も経つと印影が崩れていき、なんだかわからなくイメージがあります。
シャチハタのメーカー品はまだ長く保つ方だと思いますが、他メーカーのものは1年で押した印影が崩れてしまうこともあるようです。
ですので、契約などはシャチハタはダメです。
これでお分かりでしょうか。
本来のはんこは、一本ずつ印影が違うことに意味があり、更には機械彫りで簡単にコピーできないことが重要です。
はんこを押す機会は減っていきますが、朱肉を付けてはんこを押す時は、それだけ重要な場面、手彫りで印相体のはんこがその要件を満たすと考えています。